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ろく
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朝のHR前。
須藤「バイトしてみようかな」
まさが突然そんなことを言い出した。
ビックリして傾けて座っていたイスごと倒れそうになった。
藤木「は?なに突然」
須藤「んー…何となく」
何となくでバイトを始めてみようと思うものなのか。
藤木「仮にやるとして、何のバイトするつもりなんだよ」
須藤「飲食系かな、カフェとかのような手作りかつ落ち着いてる店」
まさは料理とお菓子作りが好きだ。
本人曰く、集中して作ることにやりがいがあるらしい。
それと、人で賑わっている所はあまり好きじゃない。
藤木「週に何日入るつもりだよ」
須藤「…二日か三日ぐらい?」
藤木「ふーん…土日も入んの?」
須藤「まだ決めたわけじゃないのに凄い聞いてくるな、なした?」
いつの間にか俺はまさに質問攻めしていた。
俺自身も、何でこんなに聞きまくるのか分からない。
藤木「別に…やるんなら早めに探しといた方がいんじゃね。高校生OKなとこってあんま無いだろうけど」
須藤「いや、この前行ったカフェ、バイト募集してて高校生OKだった」
藤木「…は?」
まさがカフェに行ったというのは初耳だ。
そもそも、男二人だけでカフェなんて行かないし。
一人でカフェに行くなんてガラじゃない。
…だとすると、誰かと行った?
藤木「へー…お前がカフェって何か合わないなー」
須藤「なに動揺してんの」
藤木「してねーしっ!」
まさの言うとおり、何故か俺は動揺してて、それが声に出てた。
幼馴染みとはいえ、知らないことの一つや二つや三つ四つ…
須藤「歩と買い物に行ってて、その帰りに休憩がてら寄っただけだわ」
藤木「え、あ、そうナノ」
急に自分がバカらしく思えてきた。
そうだよな、家族とカフェって考えるのが普通だよな。
須藤「今日、電話してみようかな。藤木の言うとおり、早めに決めといた方がいいべ」
この時、自分が言った言葉に後悔を覚えた俺がいた。
藤木「そうだな、受かるといいなー」
須藤「偉く他人事だな…」
そう、他人事だ。
まさがバイトを始めようが何だろうが俺には関係ないことだ。
てか、受かるかどうかの問題だけどな。
二日後の放課後。
須藤「受かった」
藤木「はやっ!?」
あっさりと受かったらしく、まさは今日からバイトを始めることになった。
藤木「何時からバイト?」
須藤「17時からだから、この後そのままバイトに行く」
藤木「へー大変だな」
須藤「だから、今日は一緒に帰れない」
一緒に帰れない。
その一言が重くのしかかってきた。
いつも一緒に帰るのが当たり前だったから、帰れないって言葉を初めて聞いて驚いた、多分、それだけのこと。
藤木「そっか…そう、だよな…」
須藤「ん。じゃ、また明日」
そう言って須藤はさっさと行ってしまった。
途中まで一緒に行くって言えば良かったのだろうか。
でも、だから何?
別に無理して一緒にいる必要は無い。
四六時中一緒にいられるわけが無いんだ。
それなのに、どうしてこんなに胸が苦しいんだ?
斎藤「やほーい、ふじふじ~先生にパシられて美術室に資料を運んでるんだけど手伝ってくんなーい?」
美術室が二階にあることを恨んだ。
藤木「…手伝うわけねーだろ。一人で運べ、俺は帰る」
斎藤「不機嫌とはいえ、先輩に向ける言葉じゃないよねそれ」
あれ?と新太が辺りを見回す。
斎藤「正恒はいねーの?置いてかれた?ケンカ?」
新太を思いきり殴ったら気分がスッキリしたので、資料運びを手伝ってやった。
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