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疎外感
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「なあ、聞いたか?松岡先生と長坂先生、結婚したらしいぞ!」
「嘘だろ…松岡先生はあのチビ坂先生のどこに魅力を感じたんだ…」
「だよなー、俺も理解に苦しむわ」
「あー、次数学だ」
「いーじゃん、西村先生かわいいし」
「あの先生怒ると怖えんだもん。巨乳だけど」
菅原は明るくておしゃべりで、会話が途切れることはなかった。
でも、会話の内容が僕の知ってることでも知らないことでも、普段から聞き手に徹する僕は今完全に空気になっていた。
…あれ?なんで僕…
ちょっとショック受けてんの…?
元々潤と話すときも聞き手役だったじゃないか。
そもそもずっと一人になりたかったはずだ。
この機に乗じて一緒に昼飯食べるのもやめればいいのに。
「もう一緒に食べるのやめる」
そう言って立ち去ればいい話だ。
口を開いてスッと息を吸う。
「…っ」
でも声は、言葉は出なかった。
何で何も言えないんだよ…
自分がわからない。
ただ、胸が締め付けられるように痛む。
結局僕は何も言えないまま、会話に入れない疎外感を感じながらのろのろと具なしのお握りを食べるだけだった。
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