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孤独と甘え (葵side)
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見られた…
一番見られたくない姿を、友達に…大事な人に見られてしまった。
全てが終わった気がして、目から生暖かい水が零れ出る。
潤の視線が怖くて体を抱きながら胸が膝に付くくらい前のめりになる。
見ないで、見ないで、近寄らないで…
…こんな汚いやつ放って、早く帰って…
怖くて顔を上げることができないでいると、突然バサリと体に何か掛けられた。
それは潤のコートだった。
「…見られたくないなら、見ないから…
…でも頭の傷だけは診せて。血、出てる」
「………うん」
汚さないよう気を使いながら膝にかけ、ワイシャツを伸ばして前を隠す。
潤はハンカチを濡らしてきて、額の傷を拭いてくれた。
「血は止まってるみたいだな。傷口もそんなに大きくないけど…頭だし、病院に行ったほうがいいと思う」
病院と聞いて、ぐっと言葉が詰まる。
そんな僕の様子に気づいたのか、潤はもう一つの提案をしてくれた。
「実は俺の父親、医者なんだ。だから…もし病院に行くのが嫌なら、うちに来ないか…?
俺が事前に頭だけ診るよう言っとくからさ」
「でも…」
「大丈夫。親父は他人には優しいから。
言いたくないことは言わなくていいし……な?」
言い聞かせるような口調に、言い訳を探すのにも疲れてしまい、黙って頷くことにした。
「……ちょっとシャワー浴びてくる」
下半身をシャツで隠しながら、未だ震える足に力を込めて立ち上がる。
潤が心配そうな目をしていたので、あえてなんともないよう装いながら洗面所に向かう。
とにかく今は、汚れた体を洗いたい。
潤は…どこまで気付いてるだろう…
下着も履かないで、精液の匂いを纏わせている自分の姿を改めて見る。
普通気づく…かな…
それとも男同士でそういうことをするなんて、普通の人は予想もできないかもしれない。
怖くてとてもじゃないが聞けないけど…
ぬるめだったシャワーの温度を下げる。
冷たい水を浴びていると、頭は次第に冷静に働き始めた。
潤は優しいから、今日のことを人に言いふらしたり、弱みとして利用したりはしないだろう。
でも今までと同じように友達でいられるだろうか。
僕は昨日までのように普通に話すことができるだろうか。
…できない。
あんなところ見られて…痣だけならまだしも、男に犯された事後の姿を見られて、普通になんてできるはずない…
幸せな居場所を失ってしまった。
僕はまた、一人になる…
虚しさにまた目元が熱くなる。涙はシャワーの水とともに排水溝に流れた
でも……僕はまだ、繋がりを失いたくない……
そんな甘えが、しつこく付き纏って離れない。
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