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どちらからかはわからないけれど、歩み寄って、手を伸ばせば触れられるくらいの距離になる。
「ミヤさん、」
何か言おう、そう、謝ろうと思って蒔田の方から名前を呼んだ。
だけどそれを遮るように深山が口を開いて。
「マキのところに、帰ろうと思ってた」
「え」
「呼ばなきゃ来ないとか言ってたから」
こっちから行ってやろうかと思って。口はへの字に曲がってて、いつもの強気な口調だった。
だけど、かすれた声が痛々しくて。蒔田の方を見上げた目の縁も、赤い。深山の顔は、泣いたばかりの顔だった。
「そうだ、お葬式」
今日、おじいさんのお葬式が終わったはずで。ここに、今、深山がいるはずがない。
だけど、蒔田のそんな疑問には答えず、首をふった深山は。
「かえろ」
終わったから。マキの部屋に帰ろう。そう告げた。
深山に手首を捕まれて、もときた道。うむを言わせない強さで手を引かれた。
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