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あれよあれよという間に、蒔田は深山とともに下りの新幹線のホームにいて。深山に言われるままにお弁当とお茶を買って、いつかのように隣り合った自由席に腰をおろしていた。
平日の夜、サラリーマンの集団が一日の疲れを癒すためにくつろいでる、どこか薄暗い車内で、どっちかといえば異質な二人組だ。
「食べたら、寝るから。お前の駅で起こせよ」
座るなり、弁当をかきこんで。新幹線が十分加速するかどうかくらいのタイミングで、宣言どおり隣の人は目を閉じた。最初に出会ったときのように、無防備に寝る深山の姿を見て、蒔田は考え込む。
まだこの間のことを、深山に謝ってもない。それに、ここに蒔田が来ることになったこれまでの経緯を話してもない。
蒔田は、きっと喉を通らないだろうと思っていた弁当をちびちびと食べながら、頭の中を整理していた。蒔田にとっては、往復五時間の新幹線旅行。考える時間はたっぷりある。
それに、また蒔田が勝手に帰ってしまうとでも思ってるのだろうか。隣合う方の深山の手は、蒔田のシャツの裾を握りしめていた。
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