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タクシーの車中は、わずか15分ほどの間だが、最初のような沈黙が降りてくることはなかった。
以前からの先輩と後輩のような---といっても、同じ部活の上下関係という堅苦しさもなく。けっこう打ち解けたとおもう。
蒔田がほとんど一方的に話し続けているうちに、目的地に着いた。
それでも。前から深山のことを知っていて、あの試合のときにそこにいた、という話をすることはなかった。
×××××
---数十分後。
蒔田は指定席を取っていたのを数本遅らせ、下りの新幹線の、自由席に座っていた。原因は窓側を陣取ってさっさと仮眠をとる姿勢になっている横の人。
駅に着いたときに、「年下ってわかったから」とタクシー代を強引に押しきられておごられ、「ミヤさんオトコマエ」と思った(実際、口に出した)のもつかの間。
てっきり上りに乗ると思っていた深山も、蒔田と同じく下りの新幹線で。今ならひかり◯◯号間に合いますよ、と自分の乗る予定のをおすすめして待っていると。
券売機の前から戻ってきた深山の手に握られていたのは、まさかの乗車券二枚。往復分の乗車券。特急券は見当たらなかった。
慌ててみどりの窓口に駆け込み(慌てたのも駆け込んだのも深山ではなく蒔田だけども)、席を取り直そうとしたとき、乗る予定の新幹線がホームに来たことを告げるテロップが目の前で流れたのだった。
×××××
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