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「そもそも。…なんで帰りのチケットとってなかったんです?」
眠る前に聞いておこう、と隣の深山にたずねると。
「何時にどこそことかキライ。面倒くせぇし。」
窓の外を見ながらどこまでも男らしい返答をする。そのわりに口はとがっていて、言い訳をする小学生みたいだ。深山は、年上の先輩なのだけれども。
「手配とか苦手なのに、いきあたりばったりとか」
先程のハプニングを思い出しながら、蒔田が思わずぼそっと漏らすと、
「なんとかなるもんだろ?」
実際、マキだって助けてくれたし。そう続けて、またしてもニヤリと斜め下からのぞきこまれた。
わざとなのか、わざとじゃないのか。絶妙な身長差がなせるわざなのか(タクシーの会話で、深山は171だと判明した。ちなみに蒔田は184)。
上目遣い、というには少し邪悪な、でも憎めない感じの笑顔に蒔田が二の句を継げないでいると。深山はあとはじゃあ着いたらよろしく、とだけ言って、窓側を向いて背中を丸めてしまった。
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