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(ついたら起こして…と言われましても)
蒔田が降りる駅までは二時間とちょっと。深山が降りる駅までは二時間半。つまり深山のほうが遠い。
すっかり眠り込んでしまった深山を横目に、蒔田は困り果てていた。起こさなくちゃならない、という妙な使命感にかられると、もうここから二時間は眠れそうになかった。
斜め下の深山のつむじを見下ろしながら、久しぶりに見るその姿をぼんやり観察する。もちろん他校だし、ライバルだし、こんなに近くでこれまで見たことはない。
高校の頃よりずいぶん伸びた髪は、だけど(あのときは坊主頭がデフォだった)、色は染めたりしたことのない真っ黒。将来禿げる心配の無さそうなふさふさ具合がうらやましい。
まつげは男にしては長い…少なくとも蒔田よりは量も長さも豊富で、なんというか、女の子が羨ましがる感じ。肌もきれいで。
…とここまで観察して、蒔田は、はぁとため息をついた。
(モテんのもわかるわー)
なんというかスペックが違いすぎる。高校の頃に、ファンの女の子がたくさんいたのがうなづける。
蒔田が同じ高校の後輩の女の子一人からファンレター(?)をもらって浮かれていたとき、たぶんこの人は束でもらってたのだ。
もっときっと熱烈なやつを。
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