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「お礼…」
「そ。考えといて。ご飯でもなんでも」
今は金欠だから、バイト代入ったらな。
深山はそう言って、蒔田のあごをもう一度なでて、離れていった。
「マキ。なんか別のこと考えた?」
断じて、決して、変なことを考えたわけではない。目の前に赤とピンクの間の色の、薄いけど形のいい唇があるから、それに目がいっただけで、断じて。
どぎまぎしていた蒔田は我にかえって、
(飯か…て、当たり前!何考えた、俺!?)
軽くパニック状態になりながら、とりつくろう。
「ちょ、ちが…」
「…手繋ぎまで、なんでショ」
自分の唇を指でなぞってニヤリと笑った深山が初めてこにくたらしく思えた。
「…からかわないでください」
自分でも驚くほど未練がましい声が出た。
だけど、そんな蒔田の非難はどこふく風。
深山は蒔田の膝の間から抜け出して、再びスマホをいじり始めた。それからなに食わぬ顔で、そういえばさー、と話し出した。
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