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ルゥを投入して、カレーを煮込んでいる間。
いつもなら「男子厨房に入らずだ」とか、いつの時代だと言いたくなるような言い訳で手伝わない深山が。今日はキュウリやトマトを切る蒔田の横で、サラダのレタスをちぎったりしている。
レタスはさっきのスーパーで、半分に切って黄色いテープを貼られて値引きされてたやつだ。蒔田がこういう所帯染みた買い方をしていると、横でまたオカーサンか、とか突っ込まれた。
そんなレタスをちぎりながら、深山がポツリと話し出したのは。あれ以来、野球をしなくなっていた理由。独り言みたいにとても声は小さい。
「トラウマとかそんなんじゃなくて」
ただ周りが散々騒いで。そのあとは腫れ物にさわるみたいにしたから。やりづらくて。野球から離れてしまっただけで。
「野球自体を嫌いになったわけじゃないし。むしろ今でも好きだし」
マキはわかってたみたいだけど。そう付け足した。好きだ、という言葉が耳に残って。
蒔田は。あぁちゃんと好きでいてくれたって、まるで好きなひとに自分のことを好きだって言われたみたいに。うれしくなった。
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