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離れていった温もりを残念に思いつつも、蒔田にはそれ以上なすすべなんてなく。
「お土産、思いつきましたか?」
食卓での話を、深山に背中を向けたままもう一度ふってみる。日用品以外に思い付いたかも、と思ったのだ。
「グラブ」
うん、それはもう、約束した。そうじゃなくて、と言おうとして蒔田が息を吸い込むと。
「と。バットも持ってきて」
シバには頼んどくから。またここにきて柴田さんかよと思わないでもないけど、
「………はい」
たっぷり10秒は黙ったあと。もちろん、これより他の答えはありえなかった。
深山に、ノーなんて。言えるわけないのだ、初めから。惚れた弱味、なんかじゃないけど。もう一度この人が野球をしようとするなら全力でサポートするだろう自信があった。
バットは新幹線持ち込みOKだったかな…と調べて、専用のケースかなんかに入れれば意外に何でも持ち込めることがわかった。
これはもうグラブと一緒にかついで帰って来ること決定だな、と蒔田は覚悟を決めて。帰って来てからの受け渡しをいつにしようか、その相談をしようとして。
背後から聞こえてくる深山のかすかな寝息に。やっぱり今日も、ガックリきたのだった。
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