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夕方になって。山盛りの紙袋と土産話を抱えて帰ってきた姉たちは。疲労の色濃い蒔田の顔を見て、さすがに悪かったと思ったのか、それなりの対価を払ってくれた。
今日と明日の飲み会と、帰りの新幹線でお釣りが出るかどうか、といった額だけれど。
ポロシャツにデニムという、どこにでもいそうな格好で。出掛けようとする蒔田に、
「あ、そーだ。駅前でチカちゃんにあったよ」
久しぶりにたっちゃんに会いたいってさー。遠くから次女の彩(アヤ)の声が聞こえてきた。
千佳(チカ)。本当に、久しぶりに聞いた名前だ。幼馴染みで、東高のマネージャーで。
---蒔田の元カノでもある。
家が近所同士の幼馴染みだから、姉たちとも仲がいい。さっきのお金でご飯でも食べてきたらー、なんてはた迷惑な提案をかましてきた。
「んー」
気のない返事をして家を出た蒔田が、この時こんなに適当にせずはっきり断っとけば…と後悔したのはしばらくあとの話だ。
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