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そんなことがあったから。
深山は猛勉強して。関西の大学に合格して地元を離れたらしい。進学してからずっと地元に帰ることができなくなってて、それでもやっぱり、教員免許をとりたいと思っているだろう、ということ。
柴田と高村がかわるがわる話すことは。どれも蒔田は聞いたことがないことばかりだった。
過去を知らないだけでなく。蒔田が知っているのは、現在の深山の、しかもそのごく一部だということが否応なしに突きつけられる。
その事実に苛立ちよりも寂しさを感じてしまう蒔田は、自分のエゴイスティックさに嫌気がさした。これじゃあ、深山を苦しめた自称ファンの人たちと何もかわらない。
「野球どうこう、も大事なんだが。それ以上にそんなやつらのせいで、ユウにはガキの頃からの夢とか諦めないで欲しい」
「なるほど」
「でもどうせなら、ほら。ミヤとまた一緒に野球したいだろ」
野球は、言わばバロメーターみたいなものか。深山がボール触れるようになったということは。抱えたトラウマとかそういうのが、少しは薄まったって期待をしてるんだろう。
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