アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
”-2” 猫、最愛の人と別れる ‐2
-
◇◇◇◇◇
その、一報は、春季試験の最終日、最終科目の生理学のペーパーテストをしてる時
突然、青い顔をした試験官に肩を叩かれ、もたらされた
爽くんと、僕とに
僕は、記入ミスがないか見直しの最中で、爽くんも同じだったみたい
「悩んだんだが、一応、終わっているようだし。緊急だから」
教室の外に出るように言われて、行ってみたら、管理課の事務員の人が、中舟生のお父さんから緊急で呼び出しをするように指示されたと言って
「携帯、試験中だから切っていたでしょう?急いだところで数分の差なんだけど、大至急連絡を取りたいって何度も下さるから気になって」
僕は何のことやらと、首をひねって
でも、爽くんは違ってた
即座に、真っ青になって、中に戻って、僕の荷物も掴んで戻って来た
「健。あのね、静さん、危篤なのかもしれない。今まで言わなくてごめん。試験、戻らなきゃ不味くないなら、すぐ、電話確認して?」
「・・・・・・き、とく?」
一瞬、漢字の変換が脳内で出来なくて
爽くんが、慌ててスマホを操作して、耳に当てるのをぼんやり見てた
シズサン ガ キトク ナノカモ ・・・・・・ ・・・ ・・・
「健!!」
痺れてる脳の中で、音が漢字に変換されると
僕は、その場に膝が砕けたように崩れ、尻餅をついた
「ど、どうなさったの??」
僕を慌てて支える爽くんと、事務員さん
「養母が、俺達の養母が、危篤なんです」
「ああ、お二人は、冬に、ご養子になられたのよね。学生証は来年度頭に直すって届けがあったわね」
12月に、僕等の事実上の結婚式に来てくれたじゃない
あんなに・・・元気で
笑って、はしゃいで
「確かに、ちゃあんと明日、市役所に出してくる。お洒落して」
そう言って、海老茶の風呂敷をぎゅって、抱きしめて見せてくれた
・・・・・・ううん
元気じゃなかったのかもしれない
舞い上がってて、僕がちゃんと静さんの変化に、気付けなかったのかもしれない
どう、しよう・・・・・・
僕の、僕の一番大切な、家族が・・・
僕は、大学のあの日のあの瞬間から、殆どの、確かな記憶がない
喪失・・・じゃ、あ・・・ない
受け入れたくなくて、ずっと・・・呆けたみたいになってた
佐倉の家の、静さんのお部屋に微笑んで眠ってる静さんは
何度呼んでも起きてくれなくて
泣いてる爽くんに、終いには羽交い絞めにされてたことも
くるくると、立ち働く喪服姿の爽くんの隣で
ただ、虚のように、ぼんやり頭を下げてるだけで
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
3 / 337