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”-1~+1” 王子の最愛の人々 ‐19
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ますます、混乱する俺のピンク脳は、
これは、絶対、エッチがヤれるフラグが立ってるんじゃない?
なんて、とぼけたことを導き出しやがるんだが。
バカ言え・・・相手は、健だ。
俺達は何年も、セックスしている関係だってのに、
エロいことに、まだ抵抗あるらしい言動が出来る、
天然で純粋培養で初心過ぎな、健なんだ。
「信じられないよ…ね、あり得ない、忘れるなんて」
「なにを忘れてるって?わかんない。もっと、さ、具体的に、さ?」
「爽くんの、お誕生日。結婚して、初めてなのに、僕、・・・最低・・・」
泣きぬれた顔を、上げて俺を、睨みつける、健。
「許せ、ないよ、ね・・・僕、なんか!」
緩く回していた腕を、無理やり暴れて振りほどき、俺の膝から転げ落ち、
ゴンと痛そうな音を立てて、健は背を打った。
咄嗟に伸ばした掌で、辛うじて頭を打つのは止められたけど。
「ばか、みたい、僕!バカみたい!!何もあげられないなら、抱いてもらおうなんて!!
イヤラシイこと、考えて。爽くん、に、嫌われ・・・」
痛みに呻く間も惜しむように、俺の手も払い、床を転げながら、離れていこうとする。
泣きながら、興奮して、らしくなく、怒鳴り散らして。
・・・・・・・俺は、無茶な行動を止めようと、動いてるけど
びっくりで、言葉が出てこなくて。
な、なんなんだ、この健は。
わけのわかんない、逆切れっぷりは、なんなんだ。
・・・可愛いじゃ、ないか、めちゃくちゃ!!!
しかも、思い出してくれたんだ、俺の誕生日だって!!
「ヤダ!離して!!」
「離すか、大バカ嫁猫~!」
一頻、二人で、リビングの床を転げまわって、
テーブルの脚やら、チェストの角やら、ぶつかりまくった、
ほぼ四つん這いの追いかけっこの末。
俺は、健を、これでもかってほど抱きしめる。
このびっくり箱みたいな発想も、やっぱり好みなんだ、俺。
こんな健もひっくるめて、大好きなんだ、って思いをいっぱい込めて。
リビングの端っこの辺りまで来てて、キッチンスペース近くの床で
小さな抵抗を止めずに、お門違いに傷ついて泣いてくれてる健を抱きしめながら。
ふと、シンクの冷蔵庫前の床に目が行った。
そこには、青い和紙の未開封の封筒が、縒れて落ちていて。
丹羽健さまのきれいな筆文字も何かに少し滲んで放置されていて。
健にだけ、あてられた手紙のようなそれが、ポツンとあって。
「やっぱり、爽くんには、負けちゃうのよね」って、静さんがニヤついてるように思えた。
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