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”2” 猫と過去の亡霊-1
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side 健
カーディガンとシャツの襟元のあたりを、留華くんに会う前に、少し上に引っ張る
留華くんは、僕が、爽くんと結婚したってこと知ってるし
今更、見えたとしても、気にしないのかもしれないけど
爽くんが、大丈夫、これなら、見えないよって選んでくれたやつだし
・・・・・・うん、平気かな?
僕も夢中になっちゃってて、つけないでって言い忘れちゃったんだ
首にいっぱいあるキスマークを責めちゃダメだよね
あ、愛されてるって、証なんだし、ね
留華くんは友達だもの、僕の大好きな友達
見えたって、見えない振りして・・・くれちゃうよね?
僕らの大学は1年生時だけ、殆どの部が一緒のキャンパスで
2年からそれぞれの立地もちょっとずつ離れた校舎に分かれてしまう
だから、ケースケさんや野田さんも、時間をつくって、別に会わなきゃってのが増えた
そんな関係で、1学年違いの留華くんと学校で会えるのは、1年ぶりくらいかも知れない
少し見ない間に、肩の辺りのラインがはっきりして、ちょっと男の人っぽくなったなって思う
僕の周囲の人って、意外とイケメンさんが多い
まあ、誰よりもイケメンさんは、間違いなく、爽くんで
実家のある田舎では、幼稚園時代からあだ名が「王子」で
今も、誰もそう呼ぼうなんて言ってないらしいのに、商店街の皆は「王子」って呼ぶし
学校でも、いつの間にやら「王子」って、言われたら、爽くんのことだねって
皆がすぐに認識しちゃうくらいなんだ
女房の妬くほど亭主もてもせずって、言うのよって、
爽くんが、アルバイトで一流ファッション誌のピンチヒッターをして
いつも以上に、モテてモテて、僕が、うじうじしててしてたら
静さんは言って呆れていたんだけどね、でもね、本当にモテると、皆、知ってるもん
結婚前に、どうせ僕なんか、飽きられちゃって、振られちゃうんだろうなと
ことあるごとに、自分のダメさに凹んじゃったりしてた
ピアスだって指輪だって、僕のだけの人なんだから、
贈ろうって決意が出来ても、ひと時だけでいいから、
僕のこと好きでいてくれる間だけいいから、なんて後ろ向きな気持ちだった
でも・・・今は・・・違う
僕は、爽くんの誓ってくれる愛を、信じているし
僕が心から、爽くんへの愛を、ちゃんと、ずっと誓える
左手薬指に揃って光る結婚指輪が、周囲に胸を張れるお互いの決意の証だもの
さっきの女子のクラスメートの頬が赤らんでたのは、気にしないことにした
なんでも、やきもちなんて、カッコ悪いもんね、奥さんなんだから
ん?
あれれ、男の僕は奥さんじゃないよね?論争をすっかり忘れてた
嫁とか奥さんとか・・・ダメダメ、爽くんに呼ばれ慣れかけてる~!僕っ!!
「どうした?健、まだ、元気なくてダメか?」
ついつい、考え込んでた僕を、違う意味で心配してくれた留華くんの側まで来て
途端に、考えてたバカなことが、恥ずかしくなっちゃった
「熱あるんじゃないの?、顔赤いぞ?」
おっと、おデコ同士、くっつけられそうになっちゃった
危ない危ない、爽くんに、無防備だって叱られちゃう
こんな僕でも、人の妻ですから、しっかりしないとね?
ん?妻、も違うかな??
「痩せたな~いつからこんなに細いの?祖母さんのより前からとかだったら承知しないぞ、アイツ」
「ち、違うよ!静さんのの後で、僕が、自己管理できなくてだもん」
「怪しい、本当か?」
留華くんは、久しぶりなのに、やっぱり留華くんらしくて
「こら、笑いごとじゃないんだぞ!いつでも、オレに鞍替えしていいんだからな?」
ちょっと的外れな心配を、クスクス笑ってしまってたら、あれれ?って思った
誰かと一緒なんだって、気が付いた
だって、僕を穴が開きそうに見てる人が、留華くんの少し後ろにいるんだ
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