アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
”8” 目覚めた、ネコ ‐3
-
僕を引き取りたいって言ってくれてる人
あの元気な女の子の見せてくれた写真を、思い浮かべる
そこには、女の子の制服を着た僕がいて
僕を後ろから、その人が抱きついて、指はピースサインしてるやつ
僕は、真っ赤になってて、顔を隠そうとした手を、片方の手で一纏めにされてて
すごく嬉しそうに笑う彼と、何だかくすぐったそうに、笑ってる、僕
見るからに仲が良さそうで、僕がこんな表情で写真に納まってるなんて
本当に子供の頃に、ママと写ってる写真に、数枚あるかないかくらいじゃない?
僕は、小学校中学年くらいから、写真が大嫌いで、ずっと顰っ面で写ってる
よく、お祖母ちゃんが記念写真を撮影する度に、僕に怒ってた
あの写真の感じの人なら、きっと怖くないタイプの人だと思う
高校三年生の時だって
今は、僕、大学の3年生ってことは、3年前くらいだよね
変わっていないといいなあって・・・思って、今日の夕方を迎えた
友達・・・で、兄弟、ね
・・・・・・芙柚とは、なれなかった、関係
祈るような気持ちになる、僕は、彼と良好な関係であることを
父を許したとか許さないとか、そんなことは、初めからなくて
でも、どうしても、本当の笑顔を向けれなくなっていた
だから、僕に残された、家族で
こんな厄介者になった、僕を、引き取ってくれる人とは
最低ラインでも、仲が良くないと、何かと大変なことになる
以前の僕との関係は、どうだったんだろう
6年の記憶の中に、彼は、どのくらいいるんだろう
「入るよ、健くん。起きてますか?まずは、女子達からね?」
「「こんばんは。健くん」」
大学の友人だっていう、阿川さんと小田さん
小田さんは、小さい頃、一緒のピアノ塾だったのを覚えてる
昔も真っ黒くて真っ直ぐな長い髪で、バッサバッサ振り乱して激しい曲を弾く子だったけど
今も、なんか、元気というか、激しい感じの人だ
背がすごく高くてスタイルが良くて、顔もあの頃もそうだけど、綺麗
阿川さんは、チビな僕よりも、身長が絶対に小さいってわかる、小柄で丸っこい人
あ、太ってるんじゃないよ?なんていうんだろう、雰囲気がおっとりに見える
でも、落ち着いてて、穏やかなだけじゃない凛としたところも感じる、話し方をする
容姿は、うーん、十人並みより少し上くらい?ボブカットの焦げ茶のカラー髪が似合う可愛らしいタイプの人
「昨日は、ゼリーで良かったよ。痛んじゃうところだったもん。
今日はね、蕎麦ぼうろだよ~。お母さんが京都から取り寄せたのを貰って来た~。
素朴で美味しいんだよ。一緒に食べようね?」
「私は、ちょっと巷で流行ってる、抹茶ラテね。私的に、いま一押しのドリンク」
「食べちゃって~。私達もいただきま~す。授業終わって、大急ぎで来たからお腹すいちゃった」
蕎麦ぼうろ、あ~なんか、懐かしい
よくお祖母ちゃんの作ってくれたオヤツのボウロを思い出す
入院とかしてると、日持ちもするからって、作ってくれたんだよね
クッキーとはちょっと違う、硬めだけど、サブレに近い、和三盆の和風な焼き菓子
抹茶ラテも、お祖母ちゃんは、お手製だったな
「うふふ。美味しいでしょう?」
「可愛い~。ここについちゃってる」
唇の端っこに、屑つけちゃってた
小田さんが食べながら、取ってくれた
あ、和やかにお茶してる場合じゃなかった!
僕はタブレットを手にした
『もう一人の人は、一緒に来なかったの?』
「来たよ~。でも、ちょっと、呼び出しされちゃってるの」
「バカ!直球過ぎる!健くん、気にしないでね、なんか野暮用でしょ、きっと」
ぽろっと言う小田さんに、阿川さんが、突っ込む
呼び出し?
でも、僕が気にしちゃったらダメな呼び出し?
思わず、ちょっと離れたところに座って、カルテ弄ったり、いろいろお仕事してる百哉さんを見ちゃう
「隠さないで教えるね。先生だよ、鷲尾先生。ちょっとね、揉めてるんだ」
揉めてる?
先生と揉めちゃうって、なんでだろう?
つい、二人をじっと見ちゃうと、慌てて目を逸らされちゃった
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
71 / 337