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”16” ネコの憂い ‐1
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Side タケル
「サフランライスの作り方」って
ネットで検索すると、いっぱい出てくるけど、正直作ったことが無くて
でも、一緒にアウトレットにお出かけしたときに
「カレーも好き」だって聞いて、「基本、好き嫌いはない」って聞いて
「和食も、中華も、洋風も、なんでも食べれる。
美味いもの大好き、食事ってやっぱり大事でしょ」
って言いながら、アツアツとろーりなピザをパクついてる
そんな佐倉さんを見ていたら、和食だけじゃ物足りないよって言われたみたいに思った
一番初めに、カレーもって言ったんだから
きっと、佐倉さんはカレーが食べたいんだろうなって
僕、カレー、ごくごく普通のしか作ったことが無い
うん、カレールーだって、市販品の
お祖母ちゃんのカレーだって、そもそも、そんなに凝ったの作ってもらったことない
あんまり、好きじゃなかったんだと思うんだ、カレーなんか高齢のご婦人が好んで食べないよね
だから、習った通りなら、それで作るしかないんだけど
面倒な時なんか、二人でそれぞれ別の好きなメーカーのレトルトをご飯にかけてたし
そういう時は、変な、珍しいヤツとかを選ぶ人だったな、お祖母ちゃんは
だから、佐倉さんに習って、ネット検索やお買い物ができるようになったタブレットを見て
レシピを見たりしてみたんだけど・・・・・・味が想像つかないのは、ちょっと嫌だなって
タイカレーとか、スープカレーとか・・・・・・なんかちょっと、うん
だったら、ルー使ってもちゃんと、隠し味とかはお祖母ちゃんのレシピな普通のカレーでも
ご飯とかそういうのを、工夫しようかなって見てて
で、サフランライスに、行きついた
あの、家の近所の洋風料理のお店で出してるカレーのご飯が黄色かったのって
これを使ってたからなのかって、びっくりした
お昼に、野坂さんが、インターネットの工事の人が来るからって
雨だし、付き添いますねって、来てくれてて
お昼になりそうだったから、一緒に食べてってもらおうと挽肉でドライカレーを作った
美味しい美味しいって、喜んで食べてくれてたけど
冷凍してた挽肉を解凍して、微塵切りの玉葱と荒切りのトマトと炒めて、
顆粒コンソメの水を加えて、刻んだカレールーとカレー粉入れただけの手抜きだ
御飯にどんって乗っけて、ちょっとお客様にだと思ったから、半熟の目玉焼きもつけたけど
お野菜だって昨日の野菜スープが残ってたから添えただけで、サラダも作らなかった
今日は木曜日だから、明日から来週金曜日までのお買い物リスト書かなくちゃいけなくて
大体、金曜から月曜朝までの献立で、いるものを中心に考えて、
後の日々はその食材の残りを消化してるみたいな感じが、一番無駄が少ないかなって
佐倉さんが、僕、一人の時間を、少しでも有意義にしたらいいって
ワイハイ?ってのを引いてくれたらしく
僕は、この別荘のどこに居ても、タブレットやスマホや
井田くんと横山くんのくれたゲーム機が、通信料金を気にしないで使えるんだって
テレビも見れるようにしてってくれて、それも好きに見ていいよって
病院の時は、一人で、見ちゃダメだったんだけど
いいの?って聞いたら、笑われた
「だって、健、他に誰と一緒に見るつもりなの?寂しいなら、介護の人つける?」
僕の身体で悪い所は、ない
悪いと言うか、困ってるのは、記憶がない事だけ
で、それで、何にも出来なくなってるなら、介護の人も要るだろうけど
自分が生活する事で、出来ないことなんか、ない だから、必要はない
確かに、一人で、寂しい・・・・・・けど
それを理由に、誰かについててもらうなんて、贅沢なことでしょ
「ネットもテレビもダメじゃ、健、さすがに暇過ぎちゃうでしょ?
だからって眠ってばかり居られても、また、元に戻ってしまうから起きてて欲しいし。
ぼんやり、ここに閉じこもってたんじゃ、やりたいこととか探す手がかりは見つからないと思う。
だから、外への出口は広げて置こうって、俺は思ったから。いいかなって」
「鷲尾先生の治療方針からは外れちゃうけど」って、苦笑いした
金、土、日は、楽しい
佐倉さんが来てくれて、一緒に過ごせるから
まだ2回しかしてないけど
月曜日は、寂しくなる、これも2回しかしてないけど
お見送りした後、朝もやの中に、佐倉さんの車が見えなくなると
僕は、世界に一人きりなんだって・・・・・・思ってしまう
で、気が付けば、金曜日が来るのを待ってる
今週月曜の夜から、スマホでテレビ電話するようになった
今夜は、何時ごろにかかって来るかな、これは新しい毎日来る楽しみになった
先週はあっという間に、時間が過ぎちゃった週末
二日も続けてお出かけしたし、佐倉さん、毎日運転いっぱいさせちゃって
疲れたんじゃないかなって、ちょっと心配になった
土曜日は、佐倉さん、お寝坊してるから、お弁当持ってドライブは行かないのかもって
思いながらも、一応、お弁当になりそうなのを作りながら、朝ご飯を待ってた
起きて来て、朝ご飯、美味しい美味しいって食べて、御飯とお味噌汁もおかわりしたいって
ちょうどブランチくらいの時間に、そんなに食べたらお弁当のお昼食べれないんじゃないかって
控えめに言ってみたら、忘れてた~って、すっごく急いで準備して来て
僕を急き立てるようにして、出かけた 車で数分の近所の牧場みたいなところ
家族連れの人達がいて、でもあんまり混んでなくて、牛とか馬とか、あんなに近くで初めて見た
お弁当持ちこんじゃダメってなってて、じゃあ少しだけお散歩して、他の所で食べようって
また遊びに来て、ジンギスカンをしてみようって、約束してくれた
お昼はしばらくドライブして景色の良い所に停めて、車の後の荷物とか置く所を開けて
そこに並んで座って食べたんだ お握りとか食べてて、お稲荷さんが好きだって話を聞いた
失敗した、じゃあ、そっちを作ればよかったって、ちょっと黙っちゃって
久しぶりなのに、疲れたかなって心配されて、寄り道せずに帰った
で、お昼寝していいよ、佐倉さんはお勉強するねって言うから、甘えて少し眠って、
リビングに戻ったら、佐倉さんも、難しそうなテキスト片手に、ソファーで眠ってた
佐倉さんは、本当にイケメンさんで、行く先々でも、女性の目線はカッコイイ佐倉さんに釘づけ
でも、こんなうたた寝してる、甘えたな顔も、素敵なんだけど、僕だけ見れてるんだって思って
すこーしだけ、優越感 つい、にこにこしちゃって、早めだったけど夕ご飯の支度を始めた
食事の煮てる匂いとかがしたからなのか、急に飛び起きて、
「健、今晩って、ご馳走?」って訊くから、首を横に振る、どうして?
答えは、「ちょっと出てくる、すぐに戻るからね」って出てった佐倉さんの両手に抱えて来たもの
「野坂も呼んだから、飯、少し増やせる?」って言いながら、僕に見せてくれた
・・・・・・プレートに僕の名前の入ったバースデーケーキだった
ホールケーキでお祝いなんて、小学校以来で
記憶のない6年間は知らないけど、中学生になってからは、誕生祝いを断ってた
お祖母ちゃんと二人きりなのに、盛大にしてたら、なんだか恥ずかしくて虚しかったから
でも、一応、ケーキとか、ちょっとご馳走とかにはしてくれた、僕の誕生日
僕は、もう、日付も過ぎちゃったし、遠慮したけど、佐倉さんが譲らなくて
「皆から、プレゼントも預かって来たんだから、するよ」って
普通の和食のご飯に、ホールのあんまり大きくはなかったけどデコレーションケーキ
妙な取り合わせだけど、ロウソクにフーッてのもした 数字のそれが「21」になってて、複雑な気分
食事の後で、野坂さんが帰ってテーブル片付けようって席を立とうとしたら
そんなのいいからって、ソファーに座らされて、佐倉さんは抱えるほどの沢山の荷物を持ってくる
びっくりしちゃって固まってたら、全部、僕に貰ったものだって言うんだ
中学3年までで、そんなに色々物を貰ったことなんかない僕は、ただただ驚いて唖然
なのに、佐倉さんったら、「去年や一昨年よりは少ないよ」って!!
僕に、友達がいるってだけで、ビックリしてたのに
こんなにお誕生日プレゼントくれるようなお友達とかがいるとは、思わなかった
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