アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
”25” ネコを招待する王子 ‐9
-
幸い、俺がマンションのエントランス着くまで、雨は振り出さず。
しかしながら、雷はどんどん近付きつつあり、飆々と逆巻く風が、寸前まで来てる荒天を予測させる。
解錠をバタバタして部屋に戻るまでのほんの数分を待たずして、ザァッと大粒の雨が降り出した。
ここ数日、鍵を使わずに帰宅した我が家は、俺が帰ることを知らぬカオルが、何時ものように解錠してくれず。分かりきったことを失意するよりも早く、この空間の何処かに嵐に怯える彼を見つけなくてはと急く気持ちが、動作を雑にするから、建具や家具で無駄に大きな音ばかり立ててる。
屋内は外よりかは幾分ましな大嵐の音しかしなく。
リビングは無人。救いはダイニングテーブルの上がキレイに片付いてること。朝食は取ってくれたのかな、カオルは自分の為に用意された膳を食べずに処分してしまう気質ではないから、片付いてるなら少しでも口にしてくれただろう。
それだけではない。今朝、慌てて出たせいで、ソファーに放置した寝間着代わりのホームウェアが無くなり、掃除をした気配も濃く残る。
「今日は休むって言ったくせに」
ボソッと呟く俺は、我知らず苦笑する。バカだな健気で可愛いよなって思ってさ。
リビングにいないなら、居場所は寝室だろう。
いや、念の為。俺の部屋、健の部屋、洗面所、トイレ……よし、いないな。
寝室に入る前、深呼吸する。ここに居てくれよって願う。
「なんて顔してるんですか」月曜日、大学帰りの俺を迎え入れるカオルが呆れ半分、笑い半分でリビングにて洗濯物を畳ながら見上げてくれた時。ちゃんといてくれたんだって感謝の気持ちで抱き締めたくて堪らなかった。「鍵、開けたげたのに、居なくなったとか思ったんでしょ?」って相変わらずの憎まれ口。
「灯りつけてなかったから、し、心配になった。インターフォンにも無言だったしッ。カオルくんじゃなかったのかもって思ってさっ」って文句を言ったら、火曜日はダルそうな声で返事をくれ、玄関で待ってくれてた。昨日も同じ。
寝室のブラインドが全て降り、遮光カーテンも降りてる。仮初めの闇の中、目を凝らす。
ベッドの上、コットンブランケットの膨らみに、安堵の息をつく。
「ただいま。おいで」
側に寄って床に跪き、身体が震えてるからだろう、毛布が小刻みに揺れる塊にそっとふれる。
そろそろと少しだけ捲れた毛布の隙間から半泣きの顔が覗き、信じがたいものを見るように瞳孔が開いて俺を見た。
「ど…し、てっ…?」
「ん~呼ばれたから?」
「て、テストは?……も、もしかし…て」
「大丈夫、今日は終わったよ。嘘じゃないから」
「し、信じら……ひゃあッ!」
頑固者なカオルは賢過ぎ。そして疑い深い。
鳴り響く雷鳴に両耳を塞ぎ、また、更に丸くなり。これ以上どうやったって縮めまいに。
「実力行使致しま~す」
「ふっ、えっ?……ッあ、嫌ッ!」
一気に毛布を剥いで、フリーズしてる間にベッドの上に上がり、抱き込んで再び、二人して毛布に潜り込む。
探し回って購入したキングサイズの綿毛布。健の巻き込み癖を発揮されても残面積ありな綿毛布。
日曜日の洗濯を諦めさせた、やたら大きなコイツの幅を甘く見てはダメだな。
しかも、健はいつも奥に眠る。俺の右隣に。
カオルもやっぱり同じ位置で丸くなってたから空いたスペースに身を滑り込ませればいいだけ。
「雷が通り過ぎるまででいいから、こうしてよう?」
「……で、もっ、あ、今、ダメ…」
鳴り響く度、びくつき、しがみつきたい素振りなのに、何でだか奇妙に身を離そうとする。
……あれ?
カオル、その着てるぶかぶかなTシャツって、俺の今朝、脱いだヤツに似てないか?
その上……なんか、やけに、さ?
「カオルくん、熱っぽいね?身体、具合悪いの、かな……」
「……お願い、触れ、ないでっ…っく、ひぃっ!」
直接触れれるのは腰に回した腕だけで。
カオルは毛布の下で手を見ないで蠢かし、俺達の間の腕の位置以外の場所を毛布で遮断壁を築かんとしてた。雷の音から逃げるために耳を塞ぐ隙間を縫いながら。
すっぽり頭まで被ったままにしてあげた毛布の下の顔は、どんな表情なのか分からない。
無理やり引っ張るから、たぐまっていた裾が寄せ集まってしまい……露見する、それ。
綿毛布の隅に隠してたと思しき、
オレンジのホットパンツにブルーのボクサーパンツがインしたまま脱ぎ捨てられてる、それ。
雷はいよいよ、数分おきに頻繁に鳴り響き、光だけでも遮断したい考えらしき拵えの寝室は暗い。
見間違いと思いたいが、あの小さな布の集合体は、そうとしか思えない。
ベッドで独りで下衣を脱ぐ理由なんて、決まったことだよな。
いや、いやいや。それは、考え難くないか?
健は性欲が薄い方で、独りでなんか、お仕置きに無理やり命じてやらせて、やっと程度で。
自慢にならないが、そこまで健に欲求不満にさせれたことがない。大概、俺が健を欲しがる方が先。
あのブツは、今日のではなく、別の日の脱いだ物を忘れてたヤツなのかも知れない。
自慰に耽る健なんか、そうそう、想像がつかない……
大学受験の時だって、3か月以上御無沙汰でも平気だったように見えていたし。
外は、既に、分カウントも怪しくなる頻度で空気を切り裂くような雷鳴が聞こえるようになり。
身も世もなく泣き、怯えて、パニック状態のカオルは、綿毛布の壁を自ら崩し。
俺に確かと四肢を絡めて抱きついて来る。
側臥の俺をデニム越しでも素足と分かる触感がきゅっと押しつけられ、
腰に乗った脚は膝先の脛が全て露出し、体と体の間に畳まれた脚との間になにかが触れる。
カオルにとってブカブカなシャツの裾は、ギリギリその秘部を覆う、薄い帳の如く俺達の間に存在している。
短い悲鳴を荒い息とともに、首元で奏でられ。
カオルの鼓動は、爆発寸前の早さ。……荒天の恐怖で、だけど。
俺は、あらぬ欲望で、同じく、壊れそうなくらいに脈動してる心臓。
恐怖を慰めてると装い、腰から背に移してた手を、すっと撫でおろし
この裾を捲って、つるんと肌触り最高の、桃の美臀が晒されるかどうか、確かめたいって、慾。
喉がカラカラに乾いて、訳も分からなくなって泣きじゃくる健から匂い立つ汗を、匂う空気ごと必要以上に肺に吸い込む俺。
麝香猫化する健の体臭に俺は滅法弱いんだよ~!
家の優秀な換気システムで、数十分前のカオルの自涜の証拠は消えても
腕の中でこんな状態のは、吸い込まない訳にはいかないんだって~
むしろ、無意識に、がっつり吸っちゃうんだってば~!
あ、ダメだ、勃つ……
ダメだってば、捲っちゃ、うっ……ぐっ……
捲るのを何とか堪えたが、シャツの裾まで伸ばしてしまった指先は、
シャツの下の尻を覆う際を、結局、そっと確かめてしまい。
段差は1段しかないと、しっかり、俺の脳に触覚の情報を伝えてきやがった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
163 / 337