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”32” 猫同士しか知らぬこと ‐3
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カオルくんとの爽くんが大学を休学してからと言うものの過ごし方が、
週5日はお勉強中心にして、時々家事、
週末はどこかに遊びにお出かけするか、家事だったんだって
なら、金曜のカオルくんの自殺未遂が無ければ、きっと、昨日か今日は、お出かけする日
「じゃあ、今日は、特に何にもしないで、健は教科書見たりして過ごそうか?」
「いいの?いつもならお出かけしたりしてたんでしょう?」
「ん~健、体調万全じゃないでしょ。それに……」
「カオルくんみたいに、お出かけできるかは、自信ないな、ごめんね。あ、でもっ!」
どんどん、元気のレベルゲージが落ちて行く僕は、ハッと気が付く
そ、そうだ!僕は試してみたいことがあるんだ!!
お出かけは、多分、難しい……
それって電車に乗って遠くや、車で行ったとしても向かった先も人がいっぱいってところなんじゃないかな、無理だ、そんなの
でもね、心の旅の途中、ずっと苦手で嫌だったのが、全然怖くないし、聴けるたびに嬉しかったんだ
「僕、ピアノの音、平気になったかもしれないよ。試したいんだけどどうしたらいいかな?」
「え、それは嬉しいな。う~んと、あ、そうだ。タブレット充電して、ピアノの曲とか聞いてみようか。
家にはさ、健が苦手だからクラシックとかもピアノ抜きのしか買ってなくて」
じ~んとする
爽くんって、なんて優しい旦那様なんだろうなって
カオルくんに、言われなくても思う、この人を大切にしたいって
「逆に探すの大変だったでしょう?ありがとう。いっぱい爽くんは僕のこと気遣ってくれてたんだね」
嬉しくてまた涙が出て来ちゃう~~
クラシックのCDで、敢えてピアノなしを探すのなんか、面倒に決まってるよ~
なのに、車でかけてくれてたりしたの、耳馴染みのいいクラシックとかだった
ぼろぼろ、涙が止めたいのに止らなくなってしまって
爽くんが優しい笑顔で溜息をついて、僕を胸に抱き込んでくれようとする
あ、ダメ!! 浴衣を汚しちゃうよ! 僕は必死に腕を突っ張って、抵抗する
「ね、健。普段着に着れる、普通の安~いの見に行かない?早く泣き止んで。
俺のすっかり馴染みになった呉服屋さん、見に行こう。大丈夫、めっちゃ空いてるんだ」
「大丈夫?今日は日曜日だけど?」
「あ、そうだった。休みか。今度行こうね。車で行ってもいいし」
ティッシュで顔を拭いてもらう隙間に、しゃくりを押さえて僕が訊けば、
呉服屋さんはお休みで残念そうにする爽くん
……車じゃなくて、いい
僕は、少しずつでも、克服するために頑張って行くって決めたんだ
「ううん。僕、電車で行く。爽くん、連れて行って下さい。
少しずつ、僕の歩幅で、苦手を克服して行きたいんだ。だって……」
決意を込めて、爽くんがくれたティッシュで、えいって顔を拭いて真っ直ぐ見つめた
いっぱい、頑張るねって、思いものせて見詰める、唇は震えちゃうけど、笑顔を作って
「もう、独りっきりで、健をやって行かなきゃならないからね、強くならないとっ……」
くっ……僕を心配そうに痛いものを見つめるみたいな目しないでよ、爽くん
頑張ったのに、また、泣けちゃう……
「急がないでいいよ。ずっと俺が支えるからね」
僕が気にするからって、ばっと浴衣を脱いじゃった爽くんに抱きしめられる
なんだろう、最高に優しい人なのに、けっこう、大ざっぱだったりする、かわいい所
感動して泣いてる自分が、変な気がして来て、笑えちゃう
「脱いじゃおうか?」
「うん!普通の汚してもいいの着る!」
お蔭で、湿っぽい気分が飛んで行くんだ、爽くんってやっぱりお日様みたいな人
ほら、あったでしょ、北風と太陽って、あのお日様
僕は、彼の前で、外套を着て震えてなんていられなくなっちゃうんだ、いつも
「え~、この流れは何も着ないで、さ?……ね?」
あれれ?
あ、そうか、そういう気分もあって、脱いじゃったんだ、どう、しよ……そっちは、心の準備が……
それと、どうしよう、これ、言わないとダメだよね……
「エッチ、嫌。えっとね、したくないとかじゃなくて……無理かなって」
「ど、どうして?」
「痛いの。オシッコするのも痛いくらいなの……きっと……」
意識が朦朧としながら、女医さんとお話して、
その後、声が緊張して震えてる看護婦さんが僕のモノに繋がってる管を抜くって言って
うつらうつらして返事をしてて、もぞもぞ僕のアレを掴んでやってて、医療行為とは言えあんまりいい気分じゃないよなって思って、早く終わらないかなって、爽くんを目で探してる時に
……痛くて意識を一気に自分のアレに引き込まれた
僕、看護婦さん達に何かされる時は、痛いのとか、いつも我慢できたのに
これは、ダメだった、思わず、痛くて、痛過ぎて、声が出ちゃった
謝ってくれたし、それからは痛くても、シーツを握りしめ、歯を食いしばって我慢出来たけど
あの、襲われた時の痛みや、刺された時の痛みよりは、マシだった…し、さ
あれ等を、思い出したら、多分、大概の痛みは平気になると思う
でも、トイレの度に、しながら、痛いって思ってるのって、多分、中が傷ついちゃったりしたのかも
しばらくしたら治るのかな?爽くん知ってるかな?
「痛いの続くときは、早めに教えてね?その時は、医者に行かなきゃ、ね?」
「ごめんね」
後で、爽くんに、ピアノの音チェックの終わってから、タブレット借りよう
あ、スマホで検索しようかな……うん、そうする、徐々に治るかどうか不安だもの
あと、ちょっとだけ、この怪我?に感謝してる
しばらく、エッチ、これで、避けられるから
やっぱり、抵抗ある、僕の本質が、あの中学の時の痴漢の人が言うようなものなら
僕の肉欲は、卑しくて恥ずかしいものなんじゃないかって、思ってしまってるから
爽くんの好きな僕が、「淫乱」だなんて、きっと、嫌われてしまう……よね
だって、爽くん、いつも僕に言うもの「いつまでも、初心で可愛いね」って
爽くんの好きな僕は「清純」でなくちゃダメだもの……
◇◇◇◇◇
僕の危惧は、何とか掃えた
今までのお勉強の内容は、頭の中から消えてなかった、ホッとした
でも、教科書たちは、自分のを東京に置いておきたいし、
那須から生活を引き上げるかどうかは、さて置いて、
大学に行くようにするならば、帰るのは当然だけど
復学するかどうかも、なるべく近い内に、試しに、講義に出てみて考えようってことにした
……パラパラめくった教科書の内容を、爽くんにわかるところ習っても、わからなかった
様子見を想像しても、復学、冬季からなんてやっても皆に追いつくのは難しそう
一先ず、じゃあ、手紙と教科書は取りに行って来ようかってことになって
火曜日の午前中、那須に向かう車中で、爽くんが言う
「このままいっそ、1年留年しようよ、一緒に。で、長い休暇を、取ろう?」
「そんなの、いいのかな?」
「健が帰らなかったら、必然的にそうなってた。カオルくんが健に成りすます予定だったからね」
遠く、道の先を見つめる爽くんの瞳が、とっても遠い別の何かを見つめているように見えた
昨夜の爽くんも、一昨日の夜の爽くんも、僕を寝かしてから、暫くベッドに帰って来なかった
戻って来ないんじゃないかって不安で眠れなくて、待ってた
随分、時が経って、冷たくなった手足で戻って来て、爽くんの場所に滑り込む彼の目が赤かった気がした
寝た振りしてる僕から、何かを隠すみたいに、背を向けて眠る爽くんが、寂しかった
きっと……爽くんは、カオルくんのことで、辛い気持ちになってるってわかった
こんな目、こんな風に、僕には向かない視線の時に、爽くんの心は、僕になくなる
わかっていても、切ない……な
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