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練習の日々 7
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その様子を見ていたサシャは、僕がやりたいと言って、灯りをルーシャに渡すと反対側からぴたっとくっついてきた。
そしてルーシャが何か言う前に早く早く、とせかす。
靴をはいて外へ出ようかというところで急に体がふわっと浮いた。
「人魚さんやっぱり軽いね」
……驚いた。
近づいたサシャは、いたずらっ子のような目で笑う。
「サシャ様、よろしいのですか?」
「うん、大丈夫大丈夫!」
俺を横抱きにして楽しそうに歩く。
楽で良いが、ルーシャの視線が気になる。
一瞬とがめるような視線と目が合った。
これは自分で歩けよ、とかそういう意味だろうか。
明日の朝、小言を言われないか心配だ。
「ねぇ、人魚さん。今度は二人で綺麗な星空見に行こ? お気に入りの場所があるんだ」
サシャが耳打ちしてきた。
わざわざ小声で言うことだろうか?
「ルーシャは?」
「うーん、出来れば二人がいいかなー。ルーシャとは何時も一緒だからたまにはいいでしょ?」
「でもまだあまり長くは歩けないから迷惑をかけることになる」
一人で歩くのはまだ不安がある。
「大丈夫。疲れたら今みたいに連れて行くから」
それは流石に大変だろう。
サシャは優しく微笑みながらどう? と、首をかしげて聞いてくる。
「一人でも歩けるようになったら一緒に行こう」
サシャは軽いと言っていたが、そんな事はないだろうし、やはりどうせなら今の体勢よりも一緒に歩いて行く方が良い。
「うーん、残念。僕はこの方が嬉しいんだけどね。あ! ほらここで見よう?」
ゆっくりと下ろされて、そのまま三人で座って星を眺める。
サシャが気持ちよさそうに伸びをしてから、勢いよく後ろに倒れた。
「はぁー、二人とも寝転んでみたら疲れないよ?」
ぽんぽんと地面を手で叩きながら言う。
「サシャ様、背中が汚れてしまいますよ?」
ルーシャがとがめるが、サシャは全然気にしていないようだ。
見ていた俺も寝転びたくなって、隣に座っていたルーシャの腕を引っ張って無理やり倒れ込んだ。
「う、わ! 急に引っ張るなよ!」
怒られたが、草の上は気持ちが良かったので気にならない。
それに、引っ張ったときの驚いた顔が面白くてつい笑ってしまった。
それに気付いたルーシャに何笑ってるんだ、と頬をつねられた。
「二人ともずいぶん仲が良いんだね」
そんな俺たちを見ていたサシャがぽつりとそう言うと、ルーシャがぱっと手を離した。
「何時もこんな感じなの?」
こんな感じがどういう感じかは分からないが、前よりは仲良くなった気がする。
「騒いで申し訳ありません」
軽く頭を下げてばつが悪そうにルーシャが謝る。
「ううん、羨ましいなって思っただけだから。ルーシャも楽しそうだし」
気にしないで、と困ったような顔で手を顔の前で振る。
「いえ! 俺はそんな事は……そんなに楽しんではいない……はずです……」
否定する声は、最後は小さくなって暗闇に溶けていった。
「ふふ、ルーシャが照れてる。すぐ赤くなるよね」
サシャは面白そうに口を押さえて笑いをこらえている。
「サシャ様……それは暗いから見えないのでは?」
「あ、気付いた? ごめんごめん。でも多分赤くなってるかなぁって思って」
「照れると赤くなるのか? ルーシャは暑がり……」
「あー!! ほら、あそこに今流れ星が!!」
俺がサシャに聞こうとしたところで、空を指したルーシャの声にさえぎられた。
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