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最悪な日常と物語の始まり .2
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桜side
「……ッ…すみません、父さん……」
「わかってんなら早く飯作ってこい!クソ餓鬼が!!」
髪の毛を捕まれキッチンに放り出され、
馴れた痛みを我慢しながら俺は調理を始める。
有り合わせの野菜で作った野菜炒めとお浸しと味噌汁をテーブルに置いて、
ラップに包んだ握り飯を片手に部屋に籠った。
「…ッ…ふ、ぅ…ッく…ひっく…」
布団を被り、俺は嗚咽を噛み殺して泣き続ける。
「母さん……」
俺を産んだ母親は、父の暴力と酒癖の悪さから俺と父を捨てて逃げた。
母親はロシアと日本のハーフで、俺の金髪は母親譲りだった。
『…桜。ワタシはね、桜の金髪が好きなの。
だから、お母さんの事忘れないで待っていて。必ず迎えに行くから』
そう言ってもう三年。
迎えなんか、来ないじゃないか。
毎月振り込まれる紙切れの他に、今の俺には母親と繋がる手段なんて無くて。
自傷気味に笑い、眠りに落ちた。
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