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トラウマ .1
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桜side
会場は、思ったよりも沢山の人で溢れていた。
ステージの裏…出場者達や関係者がごった返す中で、赤い長髪を靡かせた…
「はろ♪桜チャン」
狼月会の屋敷で出会った…緋龍と呼ばれた少年に、今俺は捕まっていた。
祭の中でぶつかった時、小声で
「ずいぶん可愛い姿してんね?桜チャン…?」と囃し立てられたのを思い出し、
ムッ…と睨む。
「そんなに睨まないでってww」
「……睨んでません」
そう言って緋龍を見つめる。
緋龍は自身と同じ赤い髪のウィッグを着けて、
白い薔薇のようなの髪飾りを耳の上につけ、白い生地の着物を来ていた。
白地に金の刺繍と、大輪の華の刺繍が入った、緋龍が着ている着物は、
緋龍が着ているからだろう…その赤髪にとても似合っていた。
「…………綺麗、だな…」
思わず呟くと、緋龍は俺の言葉に頬を染め、嬉しそうに笑った。
つられて俺も笑う。
「ほら、行こ…そろそろ始まる」
次々と、アナウンスで名前(あだ名だが)が呼ばれる。
先に緋龍が呼ばれ、赤髪を靡かせながらステージを歩く姿は、とても綺麗で。
観客達からは、喚声しか聞こえない。
次にアナウンスで呼ばれたのは自分で、恐る恐る…ステージを歩く。
沢山の人の中で、俺はふとある人達を見つけて、ひゅ…と喉を鳴らした。
「……、で…いる、……の……」
ブラッシュバックする記憶。
沢山の手が、目が、口が…俺を汚して、痛いって言っても何度も中に打ち付けて。
熱くて痛くて苦しくて、呼吸も出来ないほど前も後も犯された…
忘れたくても忘れられない…苦い記憶。
男達の目は、あの時のような…嬲るように舐め回し、犯していく目付きで。
カタカタと身体が震える。
気が付けば、会場にいる殆どの男達が、あの男達と同じような瞳をして…
恐怖に震える俺を、見ていた。
あの時期の、俺を犯していった男達ような、獣の目。
恐い。
恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い…
ひゅ、ひゅ…と、口からは掠れた速い呼吸音しか聞こえない。
心臓が、ドクドクと…痛いくらいに脈打って。
苦しい…痛い…
今、俺に考えられるのは、これぐらいで。
ただ…痛くて苦しくて……恐い…恐いから、お願い。
助けて。
「桜ッ…!?」
会場に駆け上がった那雪が、慌てて倒れた俺を抱き締めてくれる。
那雪の腕の中で、俺は意識を失うまで…震え続けていた。
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