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自分へのハードル
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バレンタインが近づくに連れて
街も周りもバレンタインの話ばかりになってきた。
手作りにするつもりだけど
全くどうするかも考えてなかった。
相変わらず毎日の電話もして
変わりない事に安心する。
でも
「優?明日優仕事だっけ?」
「明日は休みー!」
「俺、明日有給とって用事済ませたら優んとこ行くから!」
電話の声で分かった。
何かあったんだなって。
嫌な予感がした。
「どした?何かあった?」
「話したいことがあるから」
「なにー?今話せば?」
「電話で話す話じゃないからさぁー。」
その夜
重い空気のまんま
気づけば朝が来ていた。
お父さんが仕事行くのを見送って
お母さんが仕事に行くのも見送って
誰も居なくなったこのうちの中は凄く静かだった。
シャワーを浴びながら
鏡に映る自分の顔が最悪な顔してるってすぐにわかる。
流しっぱなしのシャワーを浴びながら
指に光る指輪を見て
胸が締め付けられる思いがした。
今までにない不安のどん底。
来ちゃうと行けないから
髪乾かして
メイクして
なんとか着替えて
ボーッと窓の空を見てた。
空はこんなに青いのになんで気持ちが曇りなんだろうって。
うちの前に車の音がして
荷物を持ち階段を降りると玄関あけてニコって微笑む聖がいた。
完全にいつものように笑えない。
けど微笑んだ。
「支度出来た⁈」
「うん!」
車の助手席に座ってなんだか重い空気が流れてた。
「優?どーしたのー?」
ビクッとなったあたしに
頭を撫でてくれた聖だけど
胸が余計に苦しくなった。
「うんん。 なんでもないょ。」
「海いこうか!寒いけど!笑」
「海?」
「そう。俺の好きな海あるんだ。」
車内で聖の大好きな曲が流れて
あたしは窓の外をボーッと見ていた。
海に着いて
ほんとに綺麗な砂浜で貝殻とか探したくなるくらい
でも今のあたしには
海も何もかも胸が締め付けられる。
綺麗な砂浜に座って
「やーっぱ さみぃー!笑」
って抱き寄せて車にあった毛布をあたしにかけてくれた。
「優?話があるんだけどさ?」
今にも泣きそうなあたしに聖が
「泣いてんの?どうした?」
「寒いから 涙目になるだけだょ!」
そう言うと
聖は頭を引き寄せて
「良く聞いて。」
もう 逃げ出したかった。
「俺、 会社の話良くするじゃん。運転技術認められてスカウトされた。」
「...。」
「海外なんだ。何年で戻れるかなんてわからない。行こうか悩んでる。」
涙が溢れてばれたくなくて下を向いてた。
でも涙は全然止まらなくて
もっと溢れてくる。
「優は、、、。」
「やだ。」
「うん。」
「でも 凄いことなんだもん
自分の実力試すにはいいと思う。
嫌だけど
嫌だけど
頑張るから優も。
だから 」
「優がさ?どう思ってるか優を見て優の気持ちを聞きたかった。だから電話で話したくなかった。」
「わかったよ。よく考えて決めるよ。」
それからどんくらいたったんだろう。
聖ともあんまり会わなくて
電話も話したりするけど
そんな気分にはなれなくて。
たまたま夜にケイから連絡きて会うことになった。
「なーに暗い顔してんの?」
我慢が限界だったのかな。
一気に我慢してた涙が溢れちゃって
ケイはそんなあたしを何も言わずに
ずっと抱きしめててくれた。
落ち着きを取り戻したあたしに
「どしたん?」
と、優しく聞いてくれた。
それからあの日の事を話した。
「そか。でも優は聖君信じてるし応援したいからそういったんじゃん?
辛いのは聖君だって同じだよ。
優は淋しいもんね。
それも分かる。
でも 応援しようとおもった優も偉かったと思うよ。どちらを選択するにせよ、背中を押した優は凄いと思うよ。」
また涙が溢れちゃって止まらなくて
「泣いちゃえ!泣いちゃえ!
とことん 泣いちゃえー!」
って ケイはぎゅって抱きしめてくれた。
携帯の音。
「携帯鳴ってない?優の。」
見ると聖だった。
出ないあたしにケイが勝手に出て
「もしもし?優の友達のケイです!
優 今 泣きすぎて出られなくてー。
はい! 分かりました!」
ケイがニコってして
車をゆっくり走らせた。
「優は随分変わったねー。
昔の優とは全く違う。
人を心から愛してるじゃん。
聖君をね。
あの冷めた優は何処いったん?
あの突き放す優はもぉいないね!
あん時の優ひどかったわぁー!笑
でもさ。
良かったよほんとに。
優が人を心から好きになる人が出来て。
好きになるって
色んな気持ちになるけど
辛かったり悲しかったり
苦しかったり
でも2人で心から喜んだりさ!
それを乗り越えてこそ
本当の幸せなんやない?」
心にケイの言葉が染みた。
長い事車に乗ってたのかな。
ケイが自販機でジュースを手に取り
あたしにくれた。
「優?
優の大切な人は誰?」
「聖。」
「じゃあ 会わなきゃダメなんじゃないかな。聖君に。」
「でも、今の優は笑うことすら出来ないし素直になれない。」
「そのジュース飲んで会っといで!」
「なんで?」
「あーっ もぉ早く飲んで!」
身体にジュースが染み渡る。
「はい!隣見て!」
言われるがままに隣見ると
車の窓を開けて
にこって笑う聖がいた。
唖然としてると
「優の事好きじゃないとすぐに飛んでこないんじゃないかな。優の彼氏は。」
また泣いてるあたしに
「泣き虫!笑
はよ! 行ってこい!」
ってケイがカバンを手渡してきた。
あたしは幸せだと思う。
こんなに思ってくれる友達が居てくれて。
背中を押してくれる友達がいて。
そして
車から降りて聖の車の前に立って
ケイがクラクションを4回鳴らして帰って行ってしまった。
それはいつも
が ん ば れ って何かあるといつも鳴らすクラクションと同じだった。
そのクラクションにまた涙すると
聖が入りなって
一言言った。
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