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61、泣き虫な2人 ※黄瀬side
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俺が泣いていると
部室の扉が開いた。
赤司っちだった。
俺は全部赤司っちに話した。
スッキリしたかった。
赤司っちは「そうか」と言って、俺の話しを最後まで聞いてくれた。
でも赤司っちも変わってしまった。
俺の知っている赤司っちはいなくなった。
そのまま俺達は全中3連覇を果たし、
帝光中を卒業した。
そしてそれぞれの道を歩いて行った。
黒子っちとは1言も話さないまま…
俺はいつのまにか笑わなくなっていた。
海常高校に入って少ししてから練習試合が決まったらしい。
誠凛高校だった。
ここは新設校で、3年生がいないとか。
そして……
黒子っちの入った高校。
俺は誠凛に行った。
もちろんどんな高校か気になったから。
黒子っちに会いたかったのもあるけど…
『お久しぶりです。黄瀬くん』
『久しぶり』
黒子っちの隣にはきっと今の光であろう人がいた。
火神大我という男だ。
俺はそいつに勝負を挑まれた。
もちろん勝ったけど。
きっと青峰っちの代わりなんだろーなー。
とか思ってこの日は帰った。
練習試合当日になってゴールは壊され、
コンビネーションを見せつけられ、
試合には負け、
こいつは青峰っちの代わりなんかじゃない。
そう思った。
『黄瀬くん』
頭から水をかぶっていると
懐かしい大好きだった声。
まさか黒子っちから話しかけてくれるなんて思ってもみなかった。
『…黒子っち…』
『…黄瀬くん……笑ってください…』
『え?』
なにを今更。って思った。
『今更…最低だと思います…けど!僕は…キミに…笑ってバスケをしてほしい…!』
『……』
『僕の勝手な気持ちでキミを傷つけてしまった…僕がキミからたくさんのことを奪ってしまった…でも…それでも…』
再び流れる黒子っちの涙。
ホントこの人にはかなわないなって思った。
最低なのは俺なのに。
『…違うッスよ黒子っち。全部…全部全部俺が望んだんす。俺が黒子っちから全部奪ったんすよ。…俺をふってよ…黒子っち…』
『…黄瀬くん…僕は…キミとは付き合えません。好きな人がいるんです。ごめんなさい…』
そう、それでいいんすよ。
それで俺の全部を拒絶して。
あぁあ、もう黒子っちの隣に歩くことさえできないのかぁ…
また一緒にバスケしたかったなぁ…
『僕と友達になってくれませんか?』
…え?
『なんで…どうしてッスか!?俺…最低なことしたんすよ!?俺は黒子っちと友達になれる資格なんてない…』
『それは違います。…ていうか…僕はキミが最低なんて思ってないです。』
『は、はぁ?…意味分かんないッスよ!』
『…黄瀬くんの言葉…すっごく嬉しかったし、安心だってしました。僕はこのまま黄瀬くんを好きになれたらいいのにって何度も思いました。』
『黒子っち…』
『僕は僕のわがままでキミを傷つけた。お互い様ってことじゃ…ダメですか…?』
『……』
『これからも友達でいてくれませんか?』
『……っ…』
『笑ってくれませんか?』
『…ぅ…っ…』
『僕はキミの笑顔が大好きなんです』
『…うぅ…ぐろごっぢぃぃぃぃぃ!』
俺は泣いた。
ひたすら泣いた。
黒子っちに泣きながら抱きしめたら
「ムードがぶち壊されました」とか言ってよしよしとなでてくれた。
でも顔を見れば黒子っちも泣いていた。
俺は自然と笑顔になっていた。
黒子っちも驚いてたけど微笑んでくれた。
優しく…とても優しく。
こうして俺の恋は終わって
今度は黒子っちの友達がスタートした。
何もなかったかのように。
WCではライバル宣言までされて
俺って結構幸せ者だったりするのかなって。
ねぇ黒子っち。ありがとう。
こんな俺と友達でいてくれて。
俺とたくさん笑ってくれて。
俺らってけっこう泣き虫だったんすね。
俺誓うッスよ。
今度は友達として、黒子っちの恋を応援するし、
黒子っちに何かあったら助ける。
だから……
なにがなんでも助けるから。
今度はキミの笑顔を取り戻すために。
俺は黒子っちの本当の笑顔が
大好きッスから!!
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