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嫌われたくない
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「……ン、…シュン!あ、起きた!」
マコトの声に目が覚めた。
…えっとたしか俺、監督室に…。
そうか、気絶しちゃったんだ。
うわ、だせぇ…。
(ここは…?)
「ここは保健室だ。シュンがぶっ倒れたって聞いて俺、心臓止まるかと思った」
マコト…。
「ありがとうマコト。…部活は?
か、監督、怒ってた?」
「いや、怒ってなかったよ。それよりも心配してた。
部活は今日はオリエンテーションだったから、もう終わったぜ」
そうか、よかった…。
いや、迷惑かけたし、良くはないけど…。
「シュン、監督に何言われたんだよ」
「え?いや…別に」
「シュン、お前倒れたんだぞ。それ相応のこといわれたんじゃねえのか?」
「ちっ、違う違う。
…ただ、この格好のこと言われて。
それで俺が、なんでこんな格好してるのか、すぐに答えられなくて…。」
監督は何も悪くない、のに
俺が話さなきゃ監督が悪者になる。
だけど、まだ、話せる気がしない。
「…でも、シュン言いづらかったんだろ?辛かったよな」
マコトが優しく言った。
その時、俺は思った。
昔のことを久しぶりに思いだして、
俺がなんでマコトにこんなに惹かれるのかわかった気がする。
『言いづらかっただろ。辛かったよな。
言ってくれてありがとう。
俺もシュンのこと…、好きだよ』
いまでも忘れられない、アキラの声が蘇る。
そうだ、マコトは少し、アキラに似てるんだ。
俺にいつだって、優しくしてくれる。
だから、もしかしたらマコトなら、なんて
考えてしまうんだ…。
「…」
「全く、無理にききだすからダメなんだよ、監督は。俺も監督はちょっと、そうゆうとこあるなーって思ってたから。」
「……」
「人のすること全部に、いちいち理由なんてないっつーの、なあ?」
俺はマコトから距離をおいたほうがいいのかも。
また期待して、幸せになっても、
あんなこと繰り返したくない。
「………」
ギュッと手を握られた。
俺はびっくりして、
俺の手を握るマコトを見た。
「シュン、俺はずっとお前の味方だから。」
マコトの目が、気持ちがまっすぐで、俺はすぐに目をそらしてしまった。
本当にいいやつなんだ。
だけど俺は、マコトを信じきることができない。
裏切られるのが、コワイ。
だから、
マコトには、汚い俺を見せられない、と思った。
マコトにだけは嫌われたくないから。
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