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雫
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ぼくとレオさんの部屋はとても近い。
近いって言うか、隣。
さらにいえば、ぼくは自分の部屋をほとんど使わない。
「初日みたいに僕を探して城を彷徨ったり、地下牢に行かれちゃ困るからね」
夜は一緒のベッドで寝てたり、する。
身分違いもいいところ……そう思うけど、レオさんは気にしないでよ、と言う。
「僕は人肌を感じてたい」
案外甘えたがりなのかな、とか。
そんなレオさんが可愛くて、ぼくはなんだか嬉しかった。
今は、とても混乱している。
「──っ、ひ、っぅ、ぅ………」
声を押し殺した嗚咽が部屋に響いている。
時々鼻を啜る音がして、結構大泣きしているんだと悟る。
レオさん……どうしたんだろう?
ここ最近、ずっとそう。毎晩、僕が寝付いたのを確認したらしくしくと泣き出す。
一時間くらい泣いたら、ベッドに戻ってきて、ぼくを抱きしめてレオさんは眠りにつく。
「……エリファレット……」
レオさんの寝言。それが誰なのか、ぼくにはわからない。
「…………こわい」
だからどこにも行かないで、と呟いたきり、レオさんは黙りこくった。
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