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#62
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「もう…やだ…」
神城の白い体には鬱血した痕が点々と散らばっている。
どれだけ時間が経っただろうか。
息を荒げ、
明らかに欲情した男が上にのし掛かったままだ。
その下で神城は抵抗も許されずにやりたい放題にされている。
「やだ…?おまえの体はこんなに感じているのに?」
「感じてなんかない!」
「嘘をつくな。見ろ…ほんのり赤く色付いて、汗が浮き出て、俺の手に吸い付いてくるだろ。」
そんな筈はない。
こんなに気持ちは嫌なんだ。
橋田の愛撫に感じているわけがない。
それなのに、
どうして笹本にしたみたいな抵抗が出来ないんだ。
横腹を殴られた笹本が咳き込んでいたあの姿を思い出して、
今更ながら申し訳ない気持ちになる。
あれは嫌で抵抗したというより、
驚きの方が強かった。
何をされているのか分からずに跳ね除けた。
そんな感じだった。
だが今はどうだ。
明らかに嫌で嫌で、
嫌悪をそのままに拒絶しているのに全く通じない。
言うだけはあって拘束が上手い。
いや、上手すぎる。
「こんなに馴染む体はそうそうない。…なぁ、たまらなくおまえを抱いてしまいたいよ。」
抱こうと思えば、きっと抱けるんだろう。
神城の抵抗など歯牙にもかけていないのだから。
ならば何故抱きたいと言いながら抱かないのだろうか。
いや、抱かれたくはない。
そんな気持ちは微塵もない。
けれど神城には、
橋田にもその意志を感じられなかった。
抱かない理由がある気がする。
それが何かは分からないが、
何か理由があるのだ。
そこに漬け込むしかない。
「もうやめてください…俺を抱いたら、きっとあなたは後悔する筈です。」
「…なんで?」
「それはご自分が分かっているでしょう。」
「分からないよ。俺は抱きたい時に抱きたい奴を抱く。」
「じゃあどうして…さっきから抱きたいと言いながら抱かないんですか?橋田さんならいくらでも抱けるでしょう」
「…そうだよ。あんたの抵抗なんか簡単に抑えられるからね。」
「だったら抱けばいい。でも抱かないのなら、もうやめてください…」
橋田は黙って上から神城を見つめる。
神城も橋田を見つめ返すが、
橋田の表情から何を考えているのか読み取る事はできない。
ただ、さっきまであった欲情が抜けているのは間違いなかった。
頼むから、もう帰ってくれ…
神城は心中で強くそう願った。
「…ふん、まぁいい。元々すぐ最後までヤる予定じゃないからね。あんたを少しずつ犯して行ってやるよ…」
「そう思うなら…好きにしたらいい。俺は負けませんから。」
「はっ…生意気なクソガキ。…帰る。また明日来るからな。」
橋田はそう言い捨てて寝室から出て行くと、
リビングからカバンと上着を持って出て行った様だった。
神城は終始ベッドに寝たまま目を瞑り、
その音を聞いていた。
玄関の扉が閉まる音が聞こえた時、
目から一筋、涙が溢れた。
何のための涙なのか、
神城には分からなかった。
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