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Said,真人 過去
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部屋の中はアパートの雰囲気とは違い、明るく爽やかな感じ。
白を基調とした家具。
でも、あまり物が置いていない。
「…狭いでしょう?」
そう言って幸せそうに笑う沙羅さん。
「……美琴が、手紙に書いてあった私の子ども。その手紙を書いたのは美琴が産まれてすぐだったんだけど、届けることが出来たのは最近なのよ。中々、まーくんの周りには監視の目が多くて…谷川にもたくさん迷惑をかけたから、あとでお礼を言っておいてね。」
沙羅さんから聞かされた現実は中々重い物だった。
あの人、は美琴くんが産まれる少し前に亡くなってしまったこと。
沙羅さんは、貯金とパートのやりくりで生活を送っていること。
あまり、長く生きられないこと。
「父の……支援をお受けになったらどうですか?」
「…もし、父様の支援を受けたら、美琴の自由がなくなってしまう。それは嫌なの。美琴には、縛られた人生を送って欲しくない。……ごめんなさい。貴方にこんな話をして、、」
沙羅さんの言い分はよくわかる。
もしここで、父の支援を受けたら美琴くんはこれから、次期当主として人々に接せられるだろう。
父に美琴の存在が暴露れば、僕は美琴の側近として美琴に仕えることになる。
はっきり言って、僕はその方が良かった。総帥、なんて権力の塊のようなものは嫌いだ。
でも、、、
僕をみて泣いている、と感じた心優しい男の子に、あんな世界は見せたくない。
「沙羅さん、僕にも美琴くんを護るお手伝いをさせて欲しいです。」
沙羅さんは、綺麗に笑った。
「…ありがとう、まーくん。」
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