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ベランダのパンツを処分し新しいパンツを買った次の日、新品のパンツを身に纏い久し振りにあのカフェに入ってみた。するといつものおばちゃんの姿はなく、初めて見るジャガイモのような店員だけだった。
もう八十のお婆ちゃんだ。何があってもおかしくない。店員はやけに恐くて注文するのも戸惑われる。それでも、ぞわぞわする背中が俺を突き動かした。
「あの、すみません。」
テーブルに着きジャガイモの店員さんを呼ぶとギロリと睨まれる。
スキンヘッドで目が細くガタイが良い奴と比べれば素麺のような俺だ。恐くないわけがない。
若干震えながらもおばさんは今日はお休みですか、と尋ねてみた。
「風邪をひいてここ三日は休んでます。口は達者なので死にはしないでしょう。」
ご注文はお決まりですか?と聞かれカフェモカとだけ答えた。お待ちくださいませ、と離れていく。
見た目の割に、随分と気持ちのいい接客をするもんだと思ったが、それよりまず声が気になった。そう、あの声は
「あれ?兄さんが店番してんの?」
チリンチリン
騒がしく鳴るドアからさっきの定員さんと同じような声が聞こえ、はっとする。
「よう隼人。何にする?」
まさかまさかまさか
気づくと同時に変な汗がシトシトと流れてくる。予想どうり俺の向かいに座り、にっこりと微笑むその人は逆瀬川隼人だった。
「あれ?知り合いなのか?」
外見は月とスッポンのようだが声がそっくりなのだ。そんなとこが似る兄弟がいるとは人生は驚きの連続である。
「大学の後輩なんだ。」
逆瀬川隼人はコーヒーを注文すると俺を眺めてにこにこしていた。
「パンツ、新しいの買ったんだ。」
本当にこのストーカーはどうなってんだ。
今日の洗濯物もベランダに干しっぱなしであった。昨日履いた古いパンツを除いて。
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