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後悔した夏の日9
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先輩に連れて行かれた居酒屋。
確かに、見覚えのある店舗名の居酒屋に安堵する。
でも…思ったより高級そう…
…俺ちょっと甘えすぎかな?
粋な暖簾をくぐると、2人の女性と1人の中年男性がお出迎えしてくれる。
やべぇ!居酒屋なのに料亭みたいじゃん!
「どうも、瀬川さん」
中に入った先輩が中年男性に声をかける。
俺もぺこりと頭を下げた。
俺の親父と同じぐらいの年だろうか…
「宍戸の坊主が予約入れたっていうから、わざわざ顔を出したんだぞ?」
豪快に笑うスーツ姿の男に、先輩も苦笑いで答える。
そしてポカンとしてる俺にこっそり耳打ちをしてくる。
「瀬川コーポレーションの社長。この居酒屋も統括してる。親父の親友なんだ」
うぉぉお…!セレブにはセレブの親友か!
セレブコネクション凄え!
CMバンバン流れてる大手企業の社長だと!?
「ど…ども…」
ペコリと頭を下げる。
知り合いのお店って、経営者が知り合いってことか…
もはや次元が違うな…
俺の親父の親友は、野球観戦好きの大酒飲みの農家のおっちゃんと、雷オヤジの警察官だぞ?!
「先日の件、有難うございました」
「いやいや、若いのに…坊主もよくやってるよ。また何か面白い取引があれば是非よろしく頼むよ」
「はい。こちらこそ…」
すげぇ!何の話かわからんが、カッコイイ。
俺、親父の親友のおっちゃんに褒められたのって、高校の夏休みに嫌々庭の草むしりした時ぐらいなのに…
「ま、調子に乗って飲み過ぎんなや。ちゃんと代行で帰れよ?」
「わかってます」
ははは。比べちゃいけない。
人それぞれだ。
俺はせいぜい草むしりして褒められるくらいの人生で丁度いいのだ。
会話が終わると、奥の個室に案内される。
凄い。この居酒屋。室内なのに川が流れてる…
しかも案内された個室も凄い豪華で。
確かに有名な居酒屋だけど、もしかしてこの部屋ってちょっと特別なんじゃないの…?
ああもう…なんか色々凄いっス。
「飲み物はどうする?」
「あう…とりあえず、ビールですかね…」
「OK」
『とりあえずビール』って居酒屋の決まりなんだろうと、俺なりに思ってる。
運ばれてくる2つのビール。
小さい時に親父のを奪い取ってほんの少し舐めた時は、生きてきた人生の中で1番不味かったと思ったものだ。
って、あれは日本酒だったかな?
『これは大人の味だ』
その時はそう言われて笑われたが。
俺ももう19だ!(※お酒は20歳になってからです)
味覚は完全に大人と変わりないはず!
「じゃあ、聖、これからの俺達に乾杯」
「はぁーい!よろしく先輩!」
そう言われて、先輩とコップを合わせる。
うわぁー!大人って感じー!!
そして俺、法律を犯します!
ワルです!俺、ワルですよ!
「いっただきまーす!」
思いっきり勢いをつけて飲み込む…
「う…げぇ………!!」
「クククッ!!」
くそぉ!先輩に笑われた!
ってか、
「まっずぅうううう!!!何コレー!!!」
「あははははは!!」
「ちょっとー!笑わないでくださいよーー!」
三種盛りのお通しを食べて慌てて味変する。
「うわっ!俺、ビール駄目っス!すいません!」
尚もお腹お抱えて笑ってる先輩は、それでも俺を馬鹿にすることなく優しい。
「いいよ、それ飲んであげる」
先輩はそう言ってビールを受け取ると、代わりにカラフルなメニューを渡してくれる。
「チューハイとか、カクテルとかのが飲みやすいよ?」
うわー女の子が好きそうなのばっかりじゃん…
「うースイマセン」
「初めてだからね、徐々に慣らしていこう?口に合わないのは飲んであげるから、好きなの頼みな」
なんて男前なんだ先輩!
それにどうせ飲み放題だもんな!
「よぉ~し!飲むぞぉー!」
そう意気込んで、ジュースっぽい飲みやすそうなお酒を頼む。
初めて飲むのに、加減も分からずはしゃぐ俺を、先輩は温かい目で見守っていてくれた。
次第に料理も運ばれてくる。
遠慮して食べようと思っていたのに、2人で食べきるには多すぎる程の料理が運ばれてきた。
料理もめちゃくちゃ豪華でおいしい。
先輩が取り分けてくれるお皿を受け取り、ひたすらモグモグと食べ続ける。
へへ。後輩なのにすいませんねぇ…。
勿論俺のお気に入りは…肉料理だ!
とくに牛モツ鍋は絶品で、お酒との相性も抜群だった。
「牛モツ~最高ぉ~牛モツ~!!」
「お肉追加するかい?」
「おーう!」
あ、敬語使ってない…あ!やき鳥うまーい!
「おれ、やき鳥は1番ぼんじりが好き~」
「追加で頼むかい?」
「うんー!」
「お酒はどうする?」
「もっとのむー!」
フワフワするぜー楽しいぜー!
なんか嫌なことあった気がするけど、もう忘れたぜー!
あぁあ楽しぃぃぃー!
酔っぱらうって、楽しいことなんだなぁ……!
「あ!そういえばぁ、せんぱい明日から夏休みだねぇ」
やばーい!夏休みとかやばーい!
ただでさえこんなに楽しいのに、夏休みだって思い出したらもっと楽しくなっちゃったぁ
「そうだね。夏休みだね」
「う〜れしぃ~~せんぱいとなつやすみだぁ〜!!」
「うん。そうだね」
「なつやすみたのしみだなあ〜〜」
「ほら、コップそんなに横にすると溢れるよ?」
「うへ?」
あ、なんか太もも、冷たい
「あーあ…もう、言ったそばから…」
あらぁ…どうしましょぉ~おもらしみたい~
「ほら、拭いてあげるから」
おお~せんぱいの顔がちかいぞ~
「あーせんぱい、えっちぃ」
「それは無自覚…?」
ゴシゴシ太もも触られてるけど、あれ?なんだかふわふわー!
「あはは!くすぐったーい」
「もう、限界だね……そろそろ帰ろう」
「ぇえ~~?」
「ふふ…ずいぶん酔ってるね?」
「……よってましぇん!!」
「うん、帰ろっか」
「ぇえ~~」
帰るのかぁ
帰りたくないなぁ
なんだか凄く帰りたくないのはなんでだっけかなぁ~
「もっとせんぱいといたい~~」
あ、せんぱいあったかい
「抱きつかれたら拭けないだろ?」
「せんぱいせんぱいせんぱーい」
「デザートのアイス食べて帰ろ?」
「やだぁ!かえらないー!」
おれはもっとフワフワするんだぁ!!
帰りたくないんだぁ!!
「帰っても、一緒だから」
せんぱい なに言ってるか わかんないや
「帰っても、ずっと一緒だよ?」
いっしょ?
ずっといっしょ?
「せんぱいと、いっしょ…?」
あ。
ねむい。
「そうだよ。ずっと一緒」
ふわ…ふわ…
すっご……ねむ……い…
も…………
「……ずっと…離さないよ…聖…」
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