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「ただいまー」
嵐と別れてから、雛は自分のマンションの部屋へと帰ってきた。
僕の、っていうか大介さんのなんだけどね...
学生の雛と社会人の大介は、大介の部屋で同棲していた。
2人が幸せになる為に在る筈の部屋に、1人で生活する雛。
「...だいすけさん...」
いつまでだろうか。
いつまで、彼を待ったら帰ってきてくれるのだろうか。
ぎゅっと唇を噛み締め、涙が溢れそうになるのを堪える。
弱気になっちゃだめだ!絶対に、大介さんは帰ってくるんだから...!
両手でぱちんと頬を叩いて気合を入れ、靴を脱いで部屋に入った。
「今日は...夜ご飯、ちゃんと食べようかなぁ」
らんちゃんに言われたし...確かに最近体重落ちてきちゃってるし。
「んー、何食べよう?冷蔵庫に何か入ってたかなぁ」
久しぶりにキッチンに入って冷蔵庫を開けるが、案の定何も入っていない。
今から買いに行く...?でも夜に一人で出かけるとらんちゃんが怒るからなぁ...
「んーーー...ま、いっか」
どうせそんなにお腹も空いてないしね。
そうと決まればさっさとシャワーを浴びて寝てしまおうと振り返ると、目に入ったのは食器棚。
雛の動きが止まる。
中には仕舞ってある食器は全て大介とお揃いで買った食器。
大介さんと、2人で食器を買いに行って...その後は2人でご飯食べて...、それで...
その日の事を思い出して、雛の瞳からは知らず知らずのうちに大粒の涙が幾つも流れる。
「...っ、ぅ...っ」
何かしようとする度、こうやって一々大介の顔が思い浮かんで現実に打ちのめされるのだ。
この部屋には、大介さんとの幸せな思い出が多すぎる。
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