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4-1side雛
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翌日目が覚めた雛の瞳に映ったのは慣れ親しんだ自分の部屋とは違う天井。
「あ、れ…?」
ぼんやりとする頭できょろきょろと部屋を見渡せば、すぐにそこは嵐の部屋だと分かった。
確か昨日は、大介さんのお見舞いに行って明子さんと話して...
段々と昨日の出来事を思い出して重くなる気分。
「あ、そっか。僕もう大介さんには会えないんだ...」
言葉にしてみればたった一言で片付いてしまうその現実は、雛の心を引き裂くように締め付けた。
こんなにも呆気なく終わってしまうなんて。
雛の中で消化できないことが多すぎて、訳も分からずに涙が零れる。
どうして
どうして
どうして――――
「...っ、う...っ...ひッ...ぅ」
嵐の枕に顔を埋めて、それでも抑えきれずに漏れる嗚咽。
信じて待っていた。大好きな彼がまた名前を呼んでくれるのを。
僕の2年間は一体何だったんだろう。
何でも、なかったのかな。
痛いよ、心が。もうずっと苦しくて痛いんだ。
「だ...ッ、すけ、さ...っ...うぅっ」
一人で泣きじゃくり次第に呼吸が苦しくなってきた頃、寝室のドアが控えめに開かれる音がした。
「雛?起きたのか?」
部屋に響くのは耳慣れた幼馴染の声。雛は咄嗟に息を潜めた。
正直どのような経緯で昨日病院から嵐の家に来たのか覚えていないが、きっと迷惑をかけた筈だ。
布団に深く潜って泣いていることを悟られないように、とする雛だが嵐を誤魔化せるわけもなく。
「ってまた泣いてんのか...そんなに泣いてばっかだと目溶けるぞ」
そう言って静かにベッドまで歩いてきた嵐に布団の上から撫でられた。昔から変わらないその手が酷く優しくて、雛の瞳に再び涙が浮かぶ。
らんちゃん、こんなに弱い僕でごめんね。いつも甘えてばっかりで、らんちゃんに慰めてもらって。
もう少しだけ、頼ってもいいかなぁ。
今はこの手に甘えててもいいかな―――――
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