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捨てるものと、守るもの(士郎side)
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痛みにも似た強烈な圧迫感に身体が慣れてくると、次第に自分の中で息づく龍之介自身に意識が向くようになる。
ドクン、ドクン、と鼓動と同じリズムを刻む熱に、じっとしていても身体の奥深い場所を犯されているようで、溶かされた身体が快感を拾い始めてしまう。
「……っ」
ジワリと身体の奥深い場所から熱が湧き上がってくる。
腰が揺れそうになるのを何とか押し留めながら、必死に浅い呼吸を繰り返した。
「な……っ」
大きな手の平に、突然、双丘をつかまれて、叫び出しそうになる。
「この感触、たまンねェ……」
吐息混じりにやわやわと揉まれ、さすられた。
途端に、キュッと龍之介を受け入れている部分が窄まり、強烈に龍之介の形を意識してしまう。
「く……っ」
「……なァ」
龍之介が器用にこちらの熱を避け、下腹を撫でた。
「……ココんトコ、オレのが入ってンの、わかるか?」
「……っ」
指先はさらに下りて、限界まで広がった窄まりの周囲をいたずらに撫でる。
「あ…っ」
思わず漏れた声に、慌てて唇を覆った。
「ははっ、今さら遅ーよ」
「……うるさい……っ」
「てか、もうちょい緩めてくンねェ?」
さすがに喰い千切られそうだと笑う龍之介を、だったら触るなとキツくにらんだ。
「……その目、逆効果だってわかってっか? ……ナカでデカくなったのわかンだろ?」
「……っ」
煽っているのはおまえの方だと叫びたかった。
いっそ引き裂かれるように抱かれる方が、どれだけマシだったか知れない。
痛みには慣れている。
対処の仕方もわかる。
だが、こんな身体の隅々の熱を呼び覚まされるような抱き方は、本気で自分を見失ってしまいそうで怖かった。
正気を保つため、己の腕に噛みつけば、
「……オマエのカラダに跡残してイイのは、オレだけだろ?」
訳のわからない理屈を壮絶な艶っぽさで押しつけてくる。
腕を取り上げられ、噛み跡に唇を寄せられた。
見せつけるようにネットリ舐められて、悪寒とも快感ともつかない震えに総毛立つ。
「離せ…っ」
「口は悪いのにカラダは素直。……ホント、たまンねェわ」
「あ…っ」
クイッと下から突き上げられて、仰け反った。
「そろそろ動けよ。……それとも、このままジワジワ溶けるみてェにイクか?」
「……っ」
龍之介の言葉はけして大げさではなかった。
受け入れたこの状態で先刻の気功もどきを使われたら、きっと本当に狂ってしまう。
かといって龍之介を高めるために自ら腰を振るのも、耐え難かった。
どちらも無理だと叫びたかったが、それもプライドが許さない。
「……克己のために、オマエは何を捨てられる?」
「……っ」
自制心か、プライドか。
それとも己を手放してしまいそうなほどの恐怖か。
すべてだと思った。
相変わらず絶妙のタイミングで心を刺す言葉を吐いてくれるものだと感心する。
人の動かし方を知っている。
生まれながらのリーダー気質とは、龍之介のような男を指すに違いない。
覚悟を決めると、ヘッドボードをつかみ、それを支えにして、ユルユルと龍之介の熱を吐き出していく。
入れる時とは違い、未知の恐怖心が薄れた分、快感だけがゾクゾクと背筋がはい上がってきて、途端に呼吸が荒くなる。
「道はできてっから、苦しくねェだろ……? ……っと、先端まで抜いちまうとキツイから、その辺までな」
大きな手の平でつかむように腰を支えられる。
その刺激にさえ、感じた。
「……そのままゆっくり降りてこい」
底なしの甘い闇に落ちてこいと言われているようで、ためらった。
「怖くねェから。……な?」
傷つけたかと思えば甘やかし、攻めていたかと思えば、甘えてくる。
反発しながらも魅了される自分を認めたくなくて、あえて力づくで深く呑み込めば、息が止まるほどの刺激に、龍之介の肩に額をつけて、身体を震わせた。
「…っ…ぅ……っ」
「たまたまイイトコかすっちまったか? ははっ、ナカが痙攣してスゲェことになってンの……わかるか?」
「言う……な…っ」
「……オレの声、好きだろ?」
「ない……っ」
人間、強く否定するには理由がある。
以前、龍之介に指摘された言葉が蘇り、認めているようなものだと歯噛みした。
何とか挽回する方法はないものかと思案する。
自分ばかりが一方的に余裕を奪われ、感じさせられているのは我慢がならなかった。
龍之介の崩れる姿が見たい。
そのためなら恥も外聞も捨てて、淫らに舞って見せてもいい。
「……おい」
こちらの剣呑な視線に、龍之介が楽しげに瞳を輝かせた。
「あまりオレをナメるなよ……?」
「ナメてねぇよ。ナメられるよーな相手抱くほど、ヒマじゃねェからな」
だが、たかを括られている。
この場を支配し、相手を感じさせるのは自分だと。
それが許せなかった。
ヘッドボードに両手を固定し、龍之介の瞳を見下ろしながら、ゆるゆると腰を動かした。
「は…っ…ぁ…っ…」
喘ぎ声はもう、あきらめた。
みっともなく感じている自分を見られてもいい。
だが、心だけは明け渡さないと決めた。
抵抗されて燃えるのなら、最後まで抵抗して見せると、龍之介をキツくにらみつけた。
「ははっ、最高だな」
「…だ…ろ?」
腰を振る羞恥心さえ我慢すれば、自分に主導権があるのは攻めているような気分で悪くなかった。
動くたびに龍之介の吐息が乱れていくのも、声の甘さが増していくのも、自分がそうさせているのだと思えば、不思議な充足感があった。
必死に感じる場所を避けながら動いていたが、肌に触れる空気にさえ感じるほど昂ぶった身体は、突き刺すような視線と毒のような声に嬲られて、到底長くは持ちそうにない。
確実に自分の方が先に飛ぶと思った瞬間、目の前の唇に噛みついていた。
「ン…っ」
あまりに意外だったのだろう。
目を見開いた龍之介に生まれた一瞬の隙をついて、頭皮に指先をすべらせた。
シャンプーの時の動きを再現すると、身体の奥で龍之介がヒクリと震えた。
自身、身体の奥底からうねるように込み上げてくる波にさらわれそうになる。
「う…っ…ぁ…っ」
目の前に見えた大きな耳朶に噛みついた瞬間、大きな腕の中に呑み込まれて、熱が最奥に打ちつけられた。
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