アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
失言(士郎side)※
-
「シロちゃん、入るよ」
続き部屋のドアが開く音がした。
何度か電話を無視した自覚があった。
さっさとトレジャーハントの準備をしたい克己は、少々腹を立てているようだ。
自分の役目はガード役だけではなく、克己の生活全般の管理にまで及ぶ。
互いの道を行くと決めてからは、なるべく自分のことは自分でやらせるようにしてきたが、普段使わないものとなると、どこに何があるのかさえ、さっぱりわからないのだろう。
「シロちゃん、いないの?」
いつもの定位置であるテラス前のソファーを見つめて、首を傾げていたが、やがてベッドで荒い呼吸を繰り返す姿に気づくと、慌てて駆け寄ってきた。
「シロちゃんっ、どーしたの!?」
「……大声を出すな」
かすかに目を開けて克己を見たが、すぐに苦しさに負けて、目を閉じた。
「お医者さんに診てもらおうよ。ね、僕呼んでくる!」
「……そろいもそろって、うるさいヤツらだ」
「は? 誰のこと言ってるの? もうっ、苦しいくせに、強がらないでよっ」
風邪クスリあったかなぁ、と、そこら中の引き出しを開け始める克己に、手の平で顔を覆った。
「……勘弁してくれ。誰が片づけると思ってる?」
克己が言葉に詰まる。
「だいだい風邪じゃないから、風邪薬は必要ない」
「だったら……、って、えっ? もしかしてシロちゃん、龍ちゃんと……?」
目を丸くするする克己に、士郎は己の失言に気づき、舌打ちした。
首筋が、熱とは別の理由により、みるみる朱に染まっていく。
「え、ホントに……?」
「頼むから、それ以上、何も言うな!」
他の誰に知られてもここまで動揺しない。
本来、誰にどう思われても、自分が納得していればいいと突き放せる方だ。
だが克己に知られ、あまつさえからかわれでもしたら、確実に死ねる。
「……どうしよう、シロちゃんが乙女に見える」
思った端から爆弾を落とされ、
「……言っておくが、今回限りだ。二度はない!」
キツく睨んだが、紅くなっている自覚があるだけに、効果の程は定かではない。
「どーして? ……気持ちよくなかった? みんな龍ちゃんと寝ると忘れられない、って言うよ?」
「……っ、オレを色ボケしたアイツのファンと一緒にするな…っ」
そもそも、やられる側はごめんだとつぶやく。
「拒むから、身体に負担がかかるんだよ。任せておけば、絶対気持ちよくなれるのに」
克己は枕元に腰掛けると、硬い黒髪をやさしく撫でてきた。
「……龍ちゃんのこと、好きになれない?」
「……おまえには言われたくない」
汗を拭いにきた指先を、つかんだ。
「オレはまだ……」
体力を使い過ぎたのか、大事なところで意識がかすみ、遠のいていく。
克己に額にキスを落とされる、切なくて幸せな記憶を最後に、またもや完全に意識を失った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
37 / 261