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宣戦布告(龍之介side)
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急速に意識が浮上する。
ベッドの上で全身を一度大きく伸ばすと、半身を起こし、大あくびをしながら、日に焼けた黒髪をガシガシとかき乱した。
媚薬と解毒剤、双方の薬の作用もあったのだろうが、昨夜は本当に限界で、ベッドに倒れ込んだ後の意識がない。
士郎に会いたいと、灼熱の砂漠でオアシスを恋焦がれるように思ったが、とても部屋までたどり着ける自信がなく、案の定発熱し始めた重い身体を引きずるようにして廊下を歩きながら、メッセージを打った。
スマートフォンの画面を見れば、士郎からの返信が1件。
らしくもなく鼓動が跳ねた。
読んだ瞬間、思わずぶはっ、と吹き出した。
『慰めてほしいのなら他を当たれ。
弱音を吐く暇があるのなら、今できることをしろ。
会いになど来なくていい。
傷口が癒えるように、おまえのこともすぐに忘れる』
あんなにも愛らしく腕のなかで啼いたくせに、身体の熱も冷めやらないうちに、もうこれだ。
「……アイツ、気づいてんのか?」
あの手の男は無駄なメッセージなど送らない。
返信してくること自体が無視できないと物語っているようなものだ。
きっと腹が立って腹が立って、たまらなかったのだろう。
男としてのプライドを崩壊させるくらいには、長い時間と手間をかけて、抱かれる快感を教え込んだ。
慎ましく淫らで、敏感な身体だ。
表面は冷たく、奥に行けば行くほど燃えるように熱く、男の征服欲を掻き立てる。
あれだけ出し尽くしても、士郎を抱いた濃密な夜を思い出すだけで際限なく熱くなる。
もはや病気だと笑った。
囚われているのは自分も同じなのかもしれない。
士郎なりの宣戦布告は受け取った。
たとえ身体が快感に負けても、けしておまえには屈しないと全力で挑んでくる男の身体を再び組み敷き、この熱で貫くには、どうしたらいい?
もはや克己というカードは切れない。
道程は困難を極めるだろう。
服の向こうの肌には、指一本触れられない。
そんな渇くような日々が、この先、永遠に続く可能性だってあった。
なのに、たまらなくゾクゾクする。
命を取り合うように愛し合いたい。
士郎となら、そんなギリギリの緊張感さえ灼熱に変わるだろう。
冷たいシャワーを浴び、この熱を鎮めたら会いに行こう。
視線が合った時の反応を想像するだけで、たまらなかった。
歩きながら服を脱ぎ去り、全裸になると、右手に巻かれた保護ネットとガーゼを取り去り、浴室のドアに手をかけた。
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