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勝負(龍之介side)
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「昔、ここでよくコイツを鳴らしたモンだ。ギャラリーはいつも一人だけ。奇しくもオマエがさっき座ってた席だった」
士郎が途方に暮れた表情でこちらを見た。
思えば士郎とこの手の話をしたことはない。
そもそも自分がピアノを弾くこと自体、知っているのはほんの一握りに過ぎない。
極めつけは幕の向こうの小柄な少年のイメージだろう。
士郎が入学してきた頃は、未だその後に訪れる爆発的な成長期の直前だった。
ほんの2ヶ月の間に身長は15センチ近くも伸び、骨格も男らしく変わった。
夏の初めに面と向かい会った時。
士郎の中で両者が同じ像を結ばなかったとしても当然なのかもしれない。
軽い喪失感はあったが、揺れる瞳が見れたから、これはこれでよしとしよう。
まさかとなぜが吹き荒れる士郎は、今や隙だらけだ。
今はこの揺れを最大限に活かして、堕ちるところまで堕ちてもらおうか。
左手で鍵盤を操りながら、痛む右手で素早くシャツのボタンを外していく。
はだけた布の向こうに素肌が見えた。
張りつめた褐色の艶やかな肌に、喉が鳴った。
指先を見せつけるように舐めて濡らし、胸の飾りの先端に触れた。
「あ……」
普段ならけして聞くことのできない無防備な声に、笑みが浮かぶ。
そのまま指先で包み込み、刺激する。
「ん…っ」
「ココ、イイだろ……?」
頂きの周りをゆるゆると指先でなぞって、ふっ、と息を吹きかけた。
「……っ」
「思い出さねェ? ココ舐められて吸われながら何度となくイッたよな……」
「って…な…っ」
抵抗する声に被せるように低音を鳴らすと、再び身体が張りつめ、束の間、抵抗が緩む。
時になだめるように優しく、時に嬲るように激しく、重低音を波のように送り込んでやる。
「……なら、勝負しようぜ」
様々な感情に引き裂かれ、脆く揺れていた瞳が、途端にギラリとした光を放つ。
勝負と言われて燃え立つのは男の性だ。
どんなに理不尽な内容でも、この言葉を使われたら避けては通れない気分になる。
少なくとも、武闘家である士郎はそうだろう。
負けるとわかっている勝負でも受けて立つ。
それが男の美学だとでも言いたげに。
思うままに振る舞い、滅びゆく中にさえ満足を見出す。
そんなある種の破滅衝動を、戦いに魅入られた男達はみな多かれ少なかれ持っている。
士郎の場合はその過度なストイックさゆえに、極端な要求にも否と言わず、望んで耐えようとする。
自分にとっては非常に都合がよかった。
「このままイジり続けて、もしオマエが胸だけでイッちまったら……どうする?」
「いく…ものか…っ」
「そうか? ……なら、もしイッたら」
音で乱し、胸の飾りで快感を与えながら、耳に頬を寄せた。
「……オマエ自身で、カラダ開いて見せろよ?」
「な…っ」
「その指で狭い入り口を押し開いて、俺を受け入れた場所の熱い疼きを知りゃァいい。……そしたらどんなにオレを欲しがってるか、自ずとわかるだろーよ」
濡れた声を吐息とともに送り込む。
耳の中の産毛にだけ触れるように、ねっとりと舌で犯してやれば、
「は…っ…、く…っ」
たまらずにブルッと震えた身体が、腕の中でゆっくりと緩んで溶けた。
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