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共に堕ちていく闇(龍之介side)
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腿の辺りに、布越しの濡れた感触があった。
「オマエの絡みつく熱いナカを、オレが忘れらンねェように」
濃密な甘い闇のような声で絡め取り、脳を犯した。
「……オマエのナカも、オレのカタチを覚えてるはずだ」
膝を進めて、弾けたばかりの熱を煽る。
「も…おかしく…なる…っ…」
「……おかしくなりゃいい」
自分がもう目の前の身体から離れられないように、士郎もまた自分の熱を求め、身悶え、眠れない夜を過ごせばいいと願った。
共に堕ちていく闇は、きっとこの上なく濃密で甘いはずだ。
深く吐息すると、士郎の肩にアゴを乗せて、目蓋を閉じた。
甘く溶けていく士郎を抱いているだけで、自分もまた溶けていくような気分になる。
身体はイッていないのに、登り詰めた後のような。
肌が泡立ち、心地よい疲労感と満足感に、眠りそうになる。
鍵盤に落とす指が強さを失い、自然、フォルテからピアニッシモに収束する。
広い講堂内に、たゆたうように微かな低音が響いた。
消えいる瞬間の炎の余韻を、喪失感の中で繰り返し楽しむかのような。
哀しみと安らぎが同居する、不思議なほど静かで満たされた感覚を味わっていた。
進み続けることに、ためらいはない。
それでも時に泥のように疲れ、すべてがどうしようもなく虚しく思える夜があった。
そんな時、束の間でもいい、抱きしめてくれる腕があれば。
翌朝には何食わぬ顔で進んでいける気がした。
今感じている温もりが永遠に共に在り続けてくれたなら……そう考えて、苦笑する。
……ありえない。
嫌われることばかりしている自覚は、充分過ぎるほどにあった。
惚れた相手にだけ、なぜか優しくできない。
難儀な性格だとは思うが、これが自分だ。
仲間はいても、そういう意味では永遠に独りだと覚悟していた。
黙って肩を貸し続ける士郎に、やがて物足りなさと疑念が募り始める。
いい加減、身体の熱も引き、理性が戻ってきてもいい頃だ。
顔を上げれば、深い憂いを帯びた瞳とぶつかった。
瞳に映る自分を見て、理解した。
攻めれば全力で刃向かうくせに、弱さを見せた途端、ガードが緩む。
ジンの消息が知れないことへの焦りや不安を見抜かれた気がして、悔しくもあったが、同時にひどく愉快だった。
どこまでも柔軟に自分を受け入れようとする。
まるで自分のためだけに用意された器のようだ。
やはりコイツは手放せない。
思った途端、落ち着きかけた熱に一気に火がついた。
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