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闇に堕ちる(士郎side)
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張り詰めて緩んだ身体を、抱き止められた。
「ん…っ」
抜け落ちた指の後を追うように、脚を抱え上げられ、性急に貫かれる。
「は…っ…ぁ…っ…ぅあ…っ」
仰け反り、思わず鍵盤に手をついて、衝撃に耐えた。
子供がめちゃくちゃに鍵盤をかき鳴らす時のような、耳に不快な不協和音が鳴り響く。
「……すげェ音。天下のベーゼンドルファーも、形無しだな」
龍之介が笑う。
腰を支えられ、腕の支えを外させられた。
背後でカタン、と鍵盤の蓋の閉まる音がする。
「ピアノは後でたっぷり聴かせてやる。だから今は、こっちに集中……な?」
一度つながりを解かれ、自力で立つように促された。
くるりと身体を反転させられ、天板にもたれかかるようにして身体を押さえつけられると、そのまま背後から覆いかぶさるようにして深く貫かれた。
「く…っ…ぁ…っ」
指先ではけして届かなかった奥を犯され、鈍い痛みの向こうに、火花が散るような激しい快感がのぞく。
「……歯ァ食い縛ンな」
唇に這わされた指が口内を犯した。
唇を愛撫し、顎をたどった指先が、口内の薄い皮膚をくすぐるように撫でていく。
「……ほらな、ナカはもう充分、溶けてンだろ?」
「おま…えは……?」
「は…っ、聞かなくてもわかンだろ? ナカでカンジねェ……?」
「……っ」
膨れ上がった熱を、一際弱い場所にグッと押しつけてくる。
薄いシャツ越しに伝わってくる龍之介の鼓動が、やけに早い。
何より、濡れて色気を増していく声が、自分と同じ熱を孕んでいることを教えてくれた。
それでも、言わせたかった。
「おまえ…は…っ?」
「……ンだよ、そんなに言わせてェか……?」
当たり前だと、睨みつけた。
「……なら、聞いとけ」
龍之介が笑った。
「……溶けてくオマエに、オレも煽られて、熱くなった……」
耳元でささやかれると、中が震えた。
「……ンとに、覚えが早ェな」
龍之介が苦笑混じりに息を詰めて、ゆるゆると吐いた。
それを境にして、突き上げる腰の動きが切迫したものに変わる。
勃ち上がったモノの先端を、弱いくびれの部分を中心に指先でやわやわと刺激された。
「……ナカに出すから、ちゃんと味わえよ?」
最後は、濃密で甘い闇のような声で墜とされた。
「……っ」
かすれた声の余韻までもが果てしなく甘く鼓膜を揺らす。
「あっ…はぁっ…ぁ…っ」
キュっと中が締まり、同時に、背後の身体が震え、ビュルッ、と奥に熱が打ちつけられた。
その刺激に、また達したような気分になる。
「……そンなにイイか? ナカの震え、止まんねェし」
嬲るように笑う。
出したものを受け止めた手の平で、ゆるゆると竿を刺激されると、受け入れた場所がヒクヒク震え、龍之介を絞り上げる中の刺激で、またもや達してしまう。
「……っ…まァ、オレも同じか……。イキッ放しのオマエ見てると、収まるモンも収まらねェわ……」
「も……溶け…る…」
天板にもたれたまま、絶え入るようにつぶやけば、
「……溶けても、イイだろ……?」
どーせオレの腕ン中だ……と、たっぷり毒を含んだ声が耳元で甘く鼓膜を震わせた。
「ぅ…ぁ…」
「……オマエ、オレの声だけでイケそうだな。ってか、入れてるだけで、熱いナカにキュウキュウやられて、ンとに、たまんねェわ……」
「あ…っ、腰揺らすな…っ、今…は…無理…っ」
痙攣している中の、一番イイところを突かれて、
「も…っ…や…ぁ…っ」
快感の波が引いてくれない。
自分がどこにいて何をしているのすらも、次第に見えなくなる。
毒のように甘い声に囚われ、止めてほしいのか、ほしくないのかさえ、わからなかった。
身動きが取れないほど深い闇の底に引きずりこまれて、すがるものを探し彷徨う指先を、熱い手の平がつかんだ。
「……泣くな」
指先に濡れた唇が触れて、ギュッと握りこまれた。
「どんなに泣かれても、やさしくはしてやれねェ」
「泣いて…な…」
「……苦しくてもヨすぎても、キャパを超えると人は泣く」
ただ、甘い苦いが占める割合が違うだけだ、と龍之介は言った。
「甘い……?」
「甘くねぇ……?」
「これ…が……?」
むしろ苦しみに近い気がした。
「オマエが克己にやりたかったような甘さには、程遠いかもしんねェ。……けど、覚えとけ。オレがやれる甘さは、これが限度だ」
嬲られているはずなのに、なぜか痛みを感じた。
抱かれているはずなのに、傷だらけの身体を抱いている気分になる。
相反する感覚が脳裏をかすめては残像だけを残し、儚い闇の中に消えていった。
何度目かの絶頂を迎えた瞬間、視界が白く溶けて、やがては完全な闇に閉ざされた。
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