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独占欲(龍之介side)
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放ったものを、あえて中に残してきた。
少しでも長く、自分を士郎の中に留めておきたくて。
独占欲が加速していく。
執着心は薄い方だったはずなのに、どんどんコントロールを失っていくようで怖くなる。
今の状態で戦地でまともに戦えるのか、自信が持てなかった。
よりによってジンに危険が迫っているこの時期に、何をやってるんだかと難しい顔をしてみても、ほんのわずかな後悔さえないのだから、どうにもならない。
罪悪感と、想いを遂げた浮き立った気分とが、入れ替わり立ち替わり、脳裏を支配した。
執務室に戻ると、ルイ一人がデスクに腰かけ、難しい顔でスクリーンの中の英語の医学論文に目を通していた。
「ハルはどーした?」
「……倒れて、寝てる」
「……っ」
明らかに、原因は先ほどのやり取りだろう。
疲れが限界にきているところにきて、さらなるダメージが加えたのは自分自身だ。
罪悪感に息が詰まった。
「……薬打って、しばらく寝かしてやれ」
「それだけかよ?」
「ンだよ、やけに突っかかってくンじゃねェか」
「……別に。けど、おまえのために無理して倒れたんだ、顔くらい見に行ってやってもいいはずだ」
「……そうだな」
「その歯型」
ルイが苦虫を噛み潰したような顔で、ため息をつく。
自らのシャツの襟元をグイッと引いて、露わになった肩を指差した。
「アイツには見せないようにしてやれよ」
「……あぁ。てか、やけに機嫌悪ィな」
「黙れ。だいたい、おまえがあいつを追い詰めるから……」
「追い詰めるから?」
「……っ、なんでもない!!」
両手でデスクを叩いて、立ち上がる。
「トレーニングルームにいるから、後で傷を見せに来い」
普段なら肩を組んできたり、それなりのスキンシップをしかけてくるのだが、とてもそんな雰囲気ではなかった。
そもそも、冷静なルイがここまで感情的になるのも珍しい。
いらぬ摩擦を避けるため、生徒会役員としての外面こそいいが、仲間内ではとことん冷めた態度が常なのに。
先ほどのやり取りから察するに、原因はハルトだろう。
大きな戦闘を前に仲間内でゴタつくのは勘弁だと思ったが、人のことは言えないなと、椅子に腰掛けるなり天井を仰いで、手の平で視界を覆った。
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