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実家に集合
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真白は実家でみんなのご飯を作っていた。真姫菜が突然日本に帰国して、そして、明日はフランスへ旅立つ。せっかく帰国したのに真姫菜は自分の新しく立ちあげたブランドの宣伝の為に、今日しか実家に帰ってこられなかったのだった。
「真白さん、なにかお手伝いしましょうか?」
「いいえ、大丈夫ですから、母を見張っておいてください」
「ふふ。分かりました」
母のボディーガード兼お守の高橋が、キッチンで忙しそうに働く真白に声をかけた。だが、真白はあの母から目を離すと、とんでもない事をやるか、どこかへフラフラと出掛けるかもしれないと思い、高橋の申し出を丁重に断る。それを高橋も分かっていたのか、真姫菜の元へと戻って行った。
父親は生憎不在だが、せっかく家族が揃ったのだから、皆の好きな物をと真白はいろいろな種類の料理を作っていた。朝からずっとそんな調子で、さすがに疲れてきたが、もうすぐ昼時だし、丁度いいかと出来た料理からリビングへ運ぼうとした。その時、玄関のインターフォンが鳴る。
「あー、あたしが出るから、大丈夫よ!」
真姫菜の声が内線で聞えたので、真白は母に任す事にした。そして真白は出来た海苔巻きと、酒のつまみ様に作ったオードブルをカートに置きリビングへ向かう。リビングに入ると、真姫菜と、そして、聞き覚えのある、愛しい人の声が真白の耳に入ってきたのだった。
「……え…さ、佐伯さん…! なんで?」
「やあ、真白。真白のお母様にお呼ばれされたんだよ」
「そ、せっかくだし。あたし明日フランス行っちゃうし呼んじゃった」
「佐伯さん、来てくれて嬉しいよ~!一緒に白兄ちゃんのごはん、食べたかったんだ!」
「そんな風に言ってくれて、嬉しいよ、真帆ちゃん」
「…ちっ」
「尋、態度悪!」
真白はその光景をポカンと見つめた。朝、佐伯の家から出て来たのに、佐伯は一言も真白の実家に呼ばれてたなんて言ってない。普通に優雅にコーヒーを飲んで、朝ごはんを食べて、いってらっしゃいのキスまでして、真白を見送ったのに。
「あら、白くん、臍曲がってるの?」
「曲げてない…でも、お母さんも、佐伯さんも、ホント意地悪!」
「いやーねぇ、ちょっとしたサプライズじゃないよ~ほら、機嫌直して。ね?」
「ごめんね、真白」
真姫菜も佐伯もニコニコしながら真白の機嫌を取るが、この二人、絶対悪いって思ってないな…と真白はジトーっと二人を見る。しかしいつまでも臍を曲げてられないので、飲み物を出そうと、またキッチンへ向かった。
「あー久しぶりの白くんのごはん、サイコーだよ」
「うん、相変わらずスゴイ美味しいね!」
「…家族水入らずだったらもっと美味し…いって!」
真姫菜が真尋の頭を軽く叩いた。真姫菜の横に座っている高橋が、恐縮したように肩を竦ませていた。
「いい加減にしなさいよ、尋くん!」
「すみません…家族水入らずの時間に…」
「た、高橋さんの事じゃないですよ!」
真尋はジロっと佐伯を睨んだが、佐伯はいつものように余裕の微笑みでそれをかわす。それが真尋はますます面白くない。その真尋の様子に真帆も呆れ顔だった。真姫菜はゲラゲラとまた豪快に笑っている。その間も真白は忙しく、パタパタと動き回っていた。
「真白、お前ももう座って食べたら?」
「え? そうですか? 飲み物とか皆大丈夫?」
「もう、落ち着きなさいよ、白くん。あとは各々適当にやればいいの」
「そうかな…? じゃあ…」
そう言って、やっと真白も佐伯の座っているソファへと向かい横に座ろうとした。
「兄さん!なに普通にそいつの隣に座ろうとしてんの!?」
「尋! うるさい!」
「尋兄! いい加減諦めなよ!」
女性二人の迫力に、立ち上がりかけていた真尋は大きな体を縮込ませて、大人しく座りなおした。真白はそんな真尋を見て、クスクス笑うと、そっと佐伯の横に座って、食事を始めたのだった。
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