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手に入らないもの。
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「おい宮下、大丈夫か?」
スッと柳瀬の手が伸びてくる。
やめろ。俺を心配するな。俺をこんなに———。
パンッ!!!
「いって.....」
思わず、柳瀬の手を振り払う。
柳瀬と草薙と林檎は驚愕した顔をしていて。
久野は何故か難しい顔をしていた。
「何で....何でお前たちがそんなに幸せなんだよ!俺の...俺の事...ぐっちゃぐちゃにした癖に!!!」
胸が痛くて、鷲掴みするけど、痛みは引いてくれない。
あぁ、柳瀬と草薙が傷付いた顔をしている。
なんで。何で2人がそんな顔するんだよ。なんで、それを見て憎いのに、こんなに悲しくなるんだよ。
「こら、伊吹」
ふんわりと優しい声がして。気付けば雀に後ろから抱きしめられていた。
「す、ずめ——?」
「何に怒ってるのか分からないけど、とりあえず柳瀬に謝りな?どんなに怒っていても心配してくれた人に手をあげたらダメだよ。柳瀬だって人だしね」
何で。何で、雀まで。柳瀬の肩を持つんだよ。
俺はもう自分のどろどろが抑えられなくて。胸が痛くて。消えてしまいたかった。
「だって、だっておかしいだろ?!あいつらは幸せで、俺だけこんな苦しくて....」
「なに?伊吹は俺といても幸せじゃないの?」
「ちが、そうじゃなくて...」
「じゃあどうなの」
ぴしゃりと雀に言われ、言いたい事も言えなくなってしまう。自分が惨めで情けなくて仕方なかった。
「す、雀なんて大嫌いだ!!!」
気付いたら思わず叫んでしまっていて。
「....そう。もういい。頭冷えたら、別れ話しようか」
そう言って雀は行ってしまった。
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