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変わっていく
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「伊吹もお弁当?じゃあそのまま中庭ね」
そのまま、手を取られて歩いていく。
美形に連れられる平凡の図に皆、注目する。
どうしよう。
何か言われるだろうか。
「大丈夫だよ」
雀はその一言だけ言った。
俺もその一言にただ、安心した。
中庭に出ると、雀はベンチに腰を下ろして俺にも座るように促した。
促されたまま座って雀を見れば、その綺麗な銀色に陽の光がキラキラして眩しいくらいだった。
「触ってみる?」
「え、じゃあ....」
そういう訳で見ていた訳じゃないけど、どうせならと手を伸ばした。
銀色に輝く髪の毛は、冷たいイメージがあったけど陽に当たってほんのり暖かくて。
スルスルと指の間を滑った。
「ん、くすぐったいよ」
撫ですぎたのか、雀が笑いながら身をよじった。少し名残惜しく思いながら手を離した。
「髪の毛、綺麗で良いな」
「そうかな?男だし、そこまで気にはしてないけどね」
対して気にした様子もなく、弁当を広げる雀にならって俺も弁当を広げた。
何だろう。雀といると本当に心が落ち着く。
一応理解者、だからか。
自殺を止められたからか。
吊り橋効果って奴なのかな?あれ?少し違うか。
そのとき、横から笑い声が聞こえた。
見れば、雀がクスクスと笑っている。
「なんだよ?」
「だって伊吹、百面相してるからおかしくて」
そう言って微笑んだ雀に胸が一段と高鳴った。
.....気のせいではないかもしれない。
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