アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
始まりの告白Ⅲ
-
「もしかしてもう惚れちゃったのかな俺の男らしい挑戦状に?」
「その毎回からかうような言葉遣いもなおしてこいウザッてえ!!」
……さっきまでの苛々はなんだったんだろう。
彼の綺麗な横顔が突然の突風と共に上げられる。ふわりと髪に頬を撫でられて、とても彼に触れたくなった。
そうか、フラれたことへの苛立ちか。
そんなことを思って、私はトモくんの告白の様子を思い浮かべる。
「俺って君のこと本当に好きなのかな……」
「は、はぁ……?」
彼は再び呆れた様子で私を見る。
「だってトモくん俺のこと悪く言わなかったんでしょ? 正直言うと俺は君にフラれて苛ついた。」
「それは俺の曖昧なフリ方のせいだろ。」
「そうなのかな。」
何となく彼から視線を逸らしていた。
風に吹かれて、私の桂の赤髪も肩の上で揺れた。
それを押さえるように手で撫でると、急に熱い手に握られる。感触からして手だろうし、手と言ったら彼のものだろうし……。
私は恐る恐る彼へ視線を戻す。
「惚れさせるとか抜かしといて好きじゃなかったなんて、許さねえぞ。」
「え?」
彼の瞳は私の視線をがっちりホールドして離そうとしない。
「トモの為にも俺をお前の虜にしてみろよ。」
握られた手のひらが熱い。
彼に見つめられる私の表情はどれ程悲惨なことになっているんだろうか。絶対に真っ赤だ。絶対に真っ赤だ。
身体中に蓄積される熱が、更に特別顔へと集中していく。
私は近い彼の綺麗な顔に心臓の高鳴りを押さえられなかった。彼の息づかいが耳を擽る。
そのくらい、近かった。
胸を押すと、彼は別状気にもせず私にされるがままに距離を取った。
「い、意地悪だね君は……。」
私がはにかんで笑うと、彼は悪戯っ子のようなキラキラした意地の悪い笑顔で笑い返した。
「よく言われるよ。」
──トクン────……と心臓が小さく鳴った。
彼の笑顔を見ると、俺の大好きな人の面影が浮かぶ。
彼の笑顔を見る度に、隣にいてくれた大事な親友の笑顔がいつも浮かんだ。
「男と分かった瞬間それかよビッチ。」
「お前なぁ……。フッた瞬間それかよ。」
呆れた彼の物言いに私は息が荒くなり始める。
「男に戻ったらもっと酷いぞ。女は雌豹、男は狼だ。けど俺は両方知ってる。」
彼の肩を掴み、力一杯押し倒す。
「俺はライオンになって君を襲おうか。」
彼は急に青ざめて俺の腹部を思いきり蹴り飛ばした。
「ま……まだ虜にされてないッ!! 余計なことすんなッ!!」
「照れちゃって……。」
腹を押さえて痛みに悶えながら、私は喜んでいた。
まったく、可愛いぁ。
「誰がッ!? 何処がッ!?」
「えっと……ああっと……」
俺は彼の不思議そうな表情にドキドキしながら頭をフル回転させた。
彼の質問に丁寧に答えようと、彼の名前を思い出そうとする。
だが無理だった、どうしても分からないなぜだろう。そうだ、
「──俺、君の名前知らないや。」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
3 / 307