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お泊まり大会Ⅲ
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皆に慕われて、皆に愛される彼が羨ましかった。
そばで見ていたからこその憧れだった。
彼は浮いていた俺を放っておけず、何度も話しかけては笑顔を向けてくれた。俺も次第に彼に心を開いていく。
そもそも、前に預けられていた施設がどんな名前だったか、どんな場所だったか、どんな友達がいたかすら記憶がなかった。
急に別れて、入園させられて、自分としては何の違和感も感じなかった。
当時の俺は弱々しくて痩せていたし、はっきり言って弱かった。
2週間が過ぎた頃にはもう格付けが決まっていた。
俺は醜い者の扱いを受けることになる。
だが、俺は王子様に毎度助けられては、仲良くおしゃべりをする。
王子様に心の底から踏み込めたのは、俺を入れて数少ない存在だった。
王子様に気に入られ、俺は側近でもなく、家来でもなく、親友と言う立場として彼が俺を必要とした。
格付けは最下位グループなのに、そばにいられる俺を妬む者は多かった。
王子様は皆に優しい、皆の王子様だった。
けれど、周りの、まるでガードマンのような最上位グループの者たちが彼を独占していて、横暴な働きをしていたのだ。
俺も目を付けられ、よく虐められた……──と言うより、一番酷かったかもしれない。
怪我をして、先生に手当てして貰う俺を見て、彼はいつもそれを手伝ってくれた。
「いつ、こんなことされたの? いつもどこでこんなことされてるの?」
──彼がトイレに行ったり先生と話したり、前に家に帰ったりした後、よく皆に意地悪をされたものだ。
憂い顔でこちらを見つめる少年を胸に抱き付いて、「コケただけだよ。」とよく泣きついた。
そして繰り返される俺への虐めに耐えきれなくなったのか、
いつの日か君は言った。
「ずっと一緒にいよう。」
「君が痛みを受けるなら一緒に受ける。君が一人になったら俺も一人になる。」
「君が最下位なら俺も最下位として君のそばにいる。」
……と。
いつの間にか彼の中で俺が必要以上の何かに昇格されていた。
嬉しい。
すごく嬉しかった。
──けれど、今まで〝彼の一番〟で居続けた彼の幼馴染みには、いい思いをされる筈がなかった。
幼馴染みにはいつも邪魔をされた。
彼と格差はあったものの、彼の側に居られる最上位グループのリーダーだった。
彼は王子様の特別な存在だった。
そいつは俺一人を分かり安いほど仲間外れにしようとしたり、裏で虐めるよう指示していたのもリーダーの彼だった。
けれど、そんなものはもう通用しない。
俺が痛め付けられていると、彼も一緒に痛みを受けようとした。
俺を仲間外れにしようとすれば、彼も一緒に外れようとした。
「何でいつもあいつと一緒にいるんだよッ!!」
「そんなのもちろん好きだからだよ。大事な友だちだ。」
「俺が楽(がく)の友だちだろ……!! お前は俺の楽(がく)だろ……っ!!」
酷く掠れた声だった。
嫉妬に燃えた、独占的な、支配欲に満ちた、
酷く、寂しそうな声だった。
「友だちだけど、友だちを泣かせる友だちなんていらない。
俺と友だちでいたいなら、凪(なぎ)くんのこと泣かせないでよっ!
凪くんに意地悪するこーちゃんなんて嫌いだっ……!」
彼は王子様を手離したくない。
嫌われたくない。
傷ついてほしくない。
王子様からの警告には逆らえなかった。
だから、彼は打つ手がなくなり、ただ隣で俺を睨み続けるだけだった。
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