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お泊まり大会Ⅹ
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──息が苦しい……。
「俺を一人にする気かぁ……?」
父は俺を押し倒して、首を絞める力を更に強くする。
「か……っ、あ……はっ……」
酸素が足りなくなり、力を入れようとしても入らない。
「お前が弱ぇえいからッ!! あの女が死んだんだろぉがぁッ!!
周りの奴等はおるを変な目で見てきやが……てッ!!」
──……父は暴力を振るうようになった。
母の自殺から三年たって、新しい妻と子を迎えた。義理の妹も義理の母も、とても優しい人たちだった、
ご飯は作ってくれるし、一緒に食べさせてくれるし、
──本当の家族のように接してくれる。いや、もう家族だった。
けど、父を見る周りの目は、何処でも冷たかった。噂は膨らんでいくばかりで、父を貶めていく。
やがて酒の力で、溜まったストレスを義理の母や妹に向けようとした。
それを庇うように、毎回俺が自ら父に殴られに行く。
──やがて耐えられなくなり義理の母は離婚。
彼女たちは俺に一緒に行かないか聞いてきたが、俺はそれを断って、今でも父の側にいる。
帰ってくるとすぐ酒を飲み、俺の部屋を訪ねては暴力を振るう。店に飲みに行った帰りでも、それは変わらない。
母の力よりも何倍も強い力で、強い拳で痛め付けられる。刃物を使わないのに、厚い手の皮で、血が溢れるほど鋭い傷を付けられる。
──けれど、父は母とは違った。
「ごめん……ごめんな……。」
酔いが覚めた後は、毎回謝りに来ては抱き締めて頭を撫でられる。
殴られたい。そしたら撫でてもらえる。
そう思うようになっていた。
けれど、今回は違う。
「父さんお願い、行かせて……っ」
確かめなければならないことがある。
……白舞のことをいつも考えていた。いつも白舞のことを見ていた。
俺は、無意識のうちに彼女を目で追っていた、考えていた。
……きっと俺は、彼女ことを……。
父さんの拳が再び振り上げられた。
──瞬間、父さんの肩に手が置かれた。
雪よりも白い真っ白な肌が、窓から射し込む日光に照らされ輝いている。
『お~じさんっ。その辺にしときなよ。』
美しすぎる笑顔が父の全身の筋肉を緩めさせる。
心地よく耳に響く優しい声が、こちらにも向けられた。
「久しぶり、朋哉(ともや)。会いたかったよ。」
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