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洗脳Ⅰ
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……最初から、あいつのことは知っていた。
あいつはいつもトモの跡をつけては、邪魔な奴は皆殺した。
『君は死ぬべきだよ。』
……そう、一言言うだけで皆洗脳されたように──いや、洗脳されていたのだろう。
……皆、彼に従った。
彼の言葉を聞いたら、誰一人逃れることはできない。
本物の神の声のような、
降りかかってくるような、
優しく包まれるような、
とても強く、圧倒的な支配力のある声だった。
「紅州公(ぐしゅうこう)くん、だよね?」
……初めて話しかけられた時から、彼に警戒していた。
「君は……朋哉のことが好き?」
「……あんな奴どうでもいい。楽を奪ったあいつなんて、好きになる筈ないだろ。」
「そうか、なら。君は今孤独なんだね。」
「お前とは違う。」
言った瞬間、彼は口元に怪しい笑みを浮かべた。
「そうだね。君には親がいるし、君には友達がいる。
白舞楽夜くんは君から離れているようで離れていないんだよ。分かるよね?」
「……あいつのせいだとでも言いたいのか。」
彼はふわっとした優しい笑みを溢して、不気味なほど美しい赤い瞳でじっとこちらを見つめる。
「分かってるんでしょ、君は。」
「……お前が楽を洗脳したんだろ。俺を一人にする為に。」
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