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第二章:運命のプレリュード(前編)
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とある男が魔界へ師に導かれ、色んな圏を瞳に映してきたのだという説がある。
洗礼された者、愛欲を犯した者、暴力に物を言わせた者が堕ちる場所。泥々でぐつぐつと、厚釜で煮た様な、生きる者が想像しない所まで足を運んだというのだ。
その人間が瞳に映し、何を思い描いたのか、私には解らない。
でも、魔族とは魅力の塊だと思います。堕ちてはいけないと頭では理解していても、心は正直なんだと。
私もまた、魔族に魅了された一人なのかも知れません。
「神の曲と書き、神曲ですか。素晴らしく興味深い物語でした」
なら、私の想い出も曲を奏でてくれるんでしょうか。
決して、結ばれる事すら叶わない悲愴を…。
走馬灯の如く、描き出してくれるでしょうか。何時の日か、生まれ変わったら、前世では大層な罪を犯したもんだと、笑えるんでしょうね。
廻る、始まりの羅針盤。
全ての運命は…。
私が貴方に出逢った事から始まり、見えない歯車が狂い出した。
此処に刻まれるのなら、大天使と魔界侯爵の儚い恋愛を開きましょう。
運命とは時に残酷なのです。華やいだ世界の裏は血塗れた世界。
歴史と共に暗黒化され、表沙汰にはならないものです。
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