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3ー3
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ー天神界・エデンの園
緩やかな風によりエデンの園に聳え立つ木々が揺れる。
空はこんなに和やかな雰囲気を醸し出してはいるのに、何故だか空気が鬱蒼としている感じがするのは気のせいだろうか。
天神界に突き出している禁断の木ですら青々しい葉を柳がせて…。
「ウリエルの事だから…完全に始末するでしょう…」
独り言を話すサキエルは、小鳥達に餌をやっていた。
浮かない表情をしながら粟を手のひらに置くと、小鳥達が手に乗って餌を食べる。
「…でも、相手が相手なだけに」
溜め息を吐く。
「ー…一筋縄ではいかないでしょう」
白い手が伸ばされる。
餌を食べていた小鳥達が一瞬にして、人型を作り上げた。
「えぇ、そうね。サキエルの言う通りだわ…」
カッパーブラウン色の長い髪が靡く。
雪白い肌に、桜色の唇。
憂いを顕すチェリー色の瞳がサキエルを映す。
「今回ばかりは、相手が悪いわ…」
白いドレスに身を包まれた女性は彼の横に立ち、快晴な空を眺め、遠くを見つめる。
『相手』を知った時、ハニエルは顔をしかめた。
天神界の神々でも魔族で誰が苦手とか話題になるが、今回も口々揃えて言っていた。
しかし、文句も言っていられない。自分達が口論している間に彼等は遊戯を楽しむ。
「魔界帝国侯爵、ゼウダー卿なんて…運が悪すぎね」
「そうだね…。けど、無事を祈ろう。君も、そのつもりで来たんだろう?ハニエル…」
「…貴方と一緒に居たく、城を脱け出して来たわ」
サキエルは、そんな彼女の腰に手を回し、抱き寄せる。
「今頃、ミカエル達は慌ててるだろうね。君が居ないと、むさ苦しい男集団しか周りには居ないから…」
「うふふっ。それは、見物ね…。ウリエルが帰って来たら、二人で嫌味の一つでも言うわ!」
「おっかないねぇ…」
くすくすと笑うハニエルの頭を撫で、サキエルは…。
「けど、楽しそうだ。君とウリエルがミカエル達に嫌味を吐く場面に出くわせるなら。だから…祈ろうか?」
「そうね…」
二人は互いに手を合わせ、握り合う。
優しい風が吹く中で。
「ウリエル…」
「神のご加護がありますように…」
下界へと降りた幼馴染みで同僚のウリエルが無事に帰って来る事を願い、祈りを込めるのであった。
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