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076 咀嚼
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「そろそろ、奥も広げようか」
そう言って彼が取り出したものを見て言葉を失う。
「ひっ……!」
複雑な体勢のまま、足の間から見たものは――――
「何……それ……」
太く、無数の突起が密集した――――ハリルが手にしてたそれは、異様なものだった。
「イズミは、これが好きだろう?」
問われた言葉に驚愕する。
好きも何も、初めて目にした……はずだ。
でも、どこかで見たことがあるような気もする。
(どこで……)
強いて言うなら緑色のそれは、まるで細長い苦瓜のようだった。
(違う……こっちに来てからも見てる……)
けれど目の前で見るそれは酷く気持ちの悪い物体で、そんな過去の記憶を探ることなどできなくなった。
何せそれは、意思を持つかのようにウネウネと、動いているのだ。
「き……もちわるい……」
まるで軟体生物のような動きは、見ているだけでも悪寒が走った。
「すっ……好きじゃない! それやだ!」
グニグニと動く物体。
嫌悪感しか示すことのできないその物体を、僕に見せつけるように顔に近づけてくる。
スンッと、先端から発している刺激的な香りが鼻腔をくすぐる。
「嫌だっ……」
急に恐怖が増した。本能的に、これは何か良くないモノではないかと思ったのだ。
しかし必死に逃げようと身を捩る。
それでも、脚を持ち上げた手はビクリともしない。
(手が離れない……!)
やはり妖術のようなもので拘束されているのだろうか。
以前声を封じられた時と同じだ。
(逃げられない……)
こんな醜悪なものを目の前にしても、こんな惨めな格好のままでいるようなのか……。
あまりの恐怖のため、勃ち上がっていた僕自身も再び縮こまってしまう。
「口を開けてみろ」
その物体を口元に近づけられる。
(気持ち悪い……)
しかし、大人しくその言葉に従うことはできなかった。
グッと口を閉ざして拒否をする。
「仕方ない」と、ハリルは僕の目の前でそのウネウネ動く物体に手をかざす。
(妖術……?)
その物体の動きが激しくなる。
ゆっくりと、先端の部分が膨らみ、その物体が口を開けるように開く。
中は沢山の、表面よりも細長い無数の突起が、鮮やかなピンク色をして蠢いている。
(気持ち悪い……)
その中から、押し出されるように――――黄色い丸いモノが産み出されてくる。
(これは……)
「セ……シルの……実……?」
あまりにもグロテスクな光景に愕然とする。
ここ何日か、好んで食べていた果実が目の前で産み落とされたのだ。
「植物のはずじゃ……」
こんな生き物から、卵のように吐き出されているものを、今まで食べていたのか。
嫌悪感が駆け巡る。
全身の毛が逆立ち、鳥肌が浮き出ていた。
「これはセシルの花だ。ただ妖力で実を産んでいるだけだ」
「……花……?」
確かに、メロウに見せて貰った本にも、セシルの実が強い妖力で産まれるとは書いてあった……。
でもまさか、こういうことだとは思わなかった。
(これが、花!? どう見たって生き物なのに……!)
あまりにも衝撃的な光景に開いた口がふさがらない。
その口に、ハリルが産み出されたばかりの実を入れてくる。
「夕食抜きだと、キツイだろう?」
先程の光景のあとに、セシルの実を食べることなどできなかった。
首を左右に振って拒否するも、無理やり実を口に押し込まれてしまう。
「ちゃんと食べなければ身体に障る」
吐き気がして、咀嚼などできない。
ましてやそれを飲み込むこともできない。
吐き気がこみ上げる。
口に入れられる実を舌で必死に押し返すと、ハリルの長い指が口内を蹂躙してくる。
「うえっ……」
後肛にされた辱めと同じだ。
「えぐっ……」
実を潰しながらも、ハリルの指が上顎をなぞる。
実の甘みですら、嫌悪してしまう。
えずく僕の様子など気にせすることなく、ハリルはもう片方の手で、用意された深めの皿の中に、ボコボコとセシルの実を産み落とさせていく。
その光景を見たら、ますます実に対する嫌悪感が増す。
「ぐぅぇ……」
胃液が込み上げる。
流石にハリルの指が口内から退き、咄嗟に実を吐き出した。
「くはっ……ひぁっ……」
涙が溢れる。
「いつも食べてるだろう?」
ハリルは僕が吐き出した実を摘み、また僕の口にあてがってくる。
「いらない……」
必死に首を振り拒絶する。
それでもハ、リルは僕の口に入れようと実を唇に強く当ててくる。
「口を開け」
ハリルの強い口調。
払いのけたいのに、手はまだ自分の脚を抑えたまま動かない。
(これじゃあ、縛られてるのと同じだ……)
口に入れられそうになるセシルの実と、動けない身体が嫌で、また涙が溢れてくる。
「ククッ……強情だな……」
「ひぁあっ!!!」
叫ぶと同時に、実がまた口に入れられる。
ハリルの指が、また後肛に差し込まれたのだ。
「別に、こちらに入れてもいいのだぞ?」
僕を再び嬲り出したハリルの声が、不機嫌になっていることに気づく。
僕の後肛に入れられた指が、中でグルリと回転する。
「こちらに入れるか……大人しく食べるか……」
告げられた選択肢。
「んぅっ……」
もう腹を決めるしかなかった。
「どうする?」
恐らく、これが最後の選択のチャンスだろう。
グッと顎に力を込め、口に入れられた実を咀嚼する。
いつもと同じ甘さと、酸味。
あんなに好んで食べていたのに、今は飲み込む瞬間、全身が震える。
「いい子だ。イズミ」
拒否の言葉を紡ぐ前に、もう次の実が唇にあてがわれていた。
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